解雇トラブルにはどんな種類があるのか?

投稿日:2014/07/28 最終更新日:2014/10/23

従業員とのトラブルで、残業代や賃金のこと以外にもっとも多いのが解雇のトラブルではないでしょうか?

解雇にはいろいろな形態があり、その形態により企業のとるべき方向性は変わってきます。

解雇には、主に下の3つの種類があります。

普通解雇

従業員の能力不足や労務提供不能の場合

懲戒解雇

職場の規律違反や問題行動による場合

整理解雇

いわゆるリストラ等

遅刻・欠勤を繰り返す従業員の解雇

投稿日:2014/09/22 最終更新日:2014/10/16

遅刻や早退、欠勤などを繰り返す従業員がいた場合、どの程度それを繰り返すと解雇できるのでしょうか?

回数による制限というのはありませんが、具体的に業務に支障が出たことや、遅刻・欠勤などが無断である、会社に対して嘘の理由を言ったなどの悪質性の程度により判断されます。

遅刻・欠勤の解雇手順

1、出勤簿や欠勤一覧表の整備

2、就業規則で遅刻・早退・欠勤などを繰り返すと、解雇事由に当たることを記載する必要があります。実際的には懲戒事由→繰り返すと解雇事由という規程になると思います。

※ポイント 実務的にはこの規程がないと解雇できないと思ってください。

3、従業員に対して、どこまで注意・指導しているかなどの客観的な証拠が必要。

始末書、反省文などの書面、メールなど客観的にわかるものです。また、人事担当者や上司の陳述書など。

解雇の注意点

解雇することにおいて、客観的に合理的な理由があるということについては、使用者が主張・立証責任を負いますので、客観的な資料を用意できなければ解雇はできないと肝に命じてください。

能力不足の従業員の解雇

投稿日:2014/09/22 最終更新日:2014/10/16

労働者の能力不足による解雇をする場合、能力不足であることを主張・立証するのは会社側になります。

具体的にどのレベルが能力不足になるかと言うと、労働者の能力不足が解雇により労働者の生活基盤を奪うことになってもやむを得ない、と考えられるほどのレベルかどうかで判断されます。

ちなみに新入社員及びそれに準ずる年齢の場合、1人前に仕事ができなくても仕方がないということもあるので、解雇は極めて困難になります。

逆にある程度の能力を期待して雇用した中途採用者の場合、特にその地位に応じて給与などを与えていれば比較的解雇はできる方向です(簡単というのではなく、認められる可能性があるという意味)。

1、具体的にには、求人広告と職経歴書の照らし合わせ。

2、人事考課の資料、実際の顧客からのクレームの有無を総合的に判断。

3、就業規則に能力不足による解雇の記載があり。

4、注意、指導を繰り返したが改善しない証明書類

5、解雇回避努力の有無(職種限定でなければ、移動や降格も含めた検討)

以上などの総合的に判断します。

 

 

履歴書の嘘など経歴詐称で懲戒解雇できるのか

投稿日:2014/09/24 最終更新日:2014/10/16

履歴書などの経歴書を詐称して入社してきた場合、すぐにでも解雇したいのが人情ではあります。が、だからと言って簡単にクビにはできません。

一般的に問題になるのが、学歴及び今までの職歴(経験)、犯罪歴などかと思います。

考え方としては、すべての経歴詐称が直ぐに懲戒処分の対象となるわけではなく、真実を告知したならば採用しなかったであろう、重大な経歴詐称に当たる場合、懲戒解雇が有効とされることが多くなります。

 経歴詐称と懲戒解雇のポイント

以下のようなポイントがあります(判例:炭研精工事件 最判平成3年9月19日)

1、使用者が企業秩序の維持のため経歴の申告を求めた場合、労働者は信義則上、これに真実をもって応ずべき義務があります。

つまり、真摯に今までの経歴などを告知する必要があります。実務的には、事前に履歴書や職務経歴書での判断となるかと思います。

2、その上で、経歴詐称があった場合、懲戒解雇が有効かどうかの判断は、真実を告知していたならば採用しなかったであろう重大な経歴の詐称であったかどうか?という点を基準とします。

要するに、経歴詐称がなければ採用しなかったのか可能性がどれだけあるのか、実際の業務にどれだけ支障があるのか?人員配置等に阻害が出たのかなどの程度に応じて検討となります。

業務を行うにおいて、どれだけ重大なレベルの詐称なのかということですね。

3、学歴や職歴の詐称は、労働力の適正な配置を誤らせるような場合には、懲戒解雇が有効となります。会社の職位が学歴別により設定されている場合、学歴を確定的な採用条件としている場合など。

つまり、今後の出世などにおいて学歴を重要な判断基準としている場合です。

職歴においては、その業務を行うために経験者を雇用しようとしたなど、その職務の内容が大きな判断基準となります。

参考までに、履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)をいい、裁判中のものなどは含まれません。ですので採用後に発覚した場合の一文も就業規則に入れる必要はあります。

無断欠勤・遅刻・早退(職務懈怠)と懲戒解雇

投稿日:2014/09/25 最終更新日:2014/10/16

無断欠勤や遅刻・早退が相次いだ場合、どれくらいの頻度であれば懲戒解雇できるでしょうか?

これは従業員が「仕事をする」という約束に対しての債務不履行です。この場合、懲戒処分が許されるのは欠勤等が企業秩序を乱したなど、士気の低下をまねいた場合に限られます。

職務懈怠の程度はかなり重く、極めて悪質であるような場合であることが必要です。

具体的な判例では、6ヶ月間の遅刻が24回、欠勤が14日に上った場合(事前届出があったのは1回)。無断欠勤が4ヶ月に及んだ場合などがあります。

勿論、全て着とくはとっておかないと駄目です。出勤しなかったというのを主張・立証するのは会社側です。

業務命令違反を犯した場合の懲戒解雇

投稿日:2014/09/25 最終更新日:2014/10/16

業務命令に違反することは懲戒解雇事由にはなります。業務命令というのは、日々の業務における指揮命令から転勤などかなり広範囲にはなります。

変な言い方ですが、業務命令違反を懲戒事由とすることは(一番重いのが解雇)、業務命令自体が適法・適当なものである必要があります。

適法・適当というのは、例えば転勤を命じた場合に従業員に介護すべき家族がいる場合など、やむをえない事情や酌むべき事情がある場合、また軽微な業務命令違反の場合などは、懲戒解雇自体が懲戒権の濫用として無効とされる可能性がかなり高くなります。

日常業務における指揮命令違反にしても、よほどの重大性・悪質性がないと、通常の日常業務命令違反(上司の言いつけを守らないなど)による解雇は難しいと思われます。

業務命令違反による解雇

これは、逆説ではありますがいきなりの懲戒解雇は難しいため、じょじょに段階をおって厳しい処分にしていくというステップを踏まなければいけません。

要は、口頭注意から反省文、始末書、減給(や出勤停止)と段階を追っていき、懲戒解雇がやむを得なかったという状態にまでなることです。辞令・業務命令書や指導を行った場合の書面・メール等は懲戒解雇が有効であると主張する場合、会社に立証責任がありますので、気をつけてください。

それでも、できれば懲戒解雇よりは、能力不足や債務不履行による普通解雇の方向にした方が問題はありませんが。

社内での犯罪や不正行為をした場合の懲戒解雇

投稿日:2014/09/29 最終更新日:2014/10/16

社内での横領、背任、窃盗、暴行(上司を殴るなど)、取引先への利益供与などいわゆる犯罪又はそれに近い不正行為を従業員がおかした場合、懲戒解雇はできるのでしょうか?

従業員が犯罪や不正行為を行ったとき、懲戒解雇はできるのか?

刑事告訴された場合(つまり刑務所行きになった場合)は、就業規則に記載があれば解雇することにそれほど苦労はない方向になります。というか、現実的に出社できないのですから自然と退職となっていく可能性が高くなります。

ただ、警察ではなく社内で処理した場合(金額が少ないなど被害が軽微な場合、応々にしてありえると思います)、犯罪行為が存在すること、及びその犯罪行為を従業員が行ったことの立証が必要になります。

現行犯であればともかく、後で立証するのはなかなか困難な場合が多いかと思いますが、これが第一です。

その上で就業規則の規程に照らし合わせて、処分を決めていく形になります。ちなみに就業規則に記載がない場合、解雇はほぼできません。自主退社を促すしかないですね。

取引先から利益を得た場合などの(裏でお金をバックしてもらった等)の懲戒解雇

不正行為があったという証明や、その従業員がやったことに対しての証明をすることは上記と同じです。

 

それに加えて懲戒解雇をするだけの大きな問題かという視点があります。

例えば、取引先からビール券1万円をもらったら?良くはないけど儀礼の内でしょうか?

10万円なら?ちょっと多いな。二度とやるなよでしょうか?

100万円なら?ちょっとこっちにこい!でしょうか?

では、取引先から見返りに、80万円程度の軽自動車をプレゼントしてもらっていたら??

 

でも本来、金額が多いから駄目で、少ないからよいというのもおかしな考えですよね。

ですので、この部分は不正行為が企業活動や企業秩序に与えた影響や悪質性、類似の不正行為が過去にあった場合の処分事例などを検討します。

例えば、以前は同様の事件があって始末書だったのに、今回は懲戒解雇というのは認められないと思います。

この辺り、その事柄の重大さと処分のバランスをみながら、慎重に判断していくこととなります。

 

痴漢・喧嘩など私生活上での非行行為で懲戒解雇できるのか?

投稿日:2014/09/30 最終更新日:2014/10/16

私生活での非行というと少しわかりにくいですが、例えば私生活上で喧嘩、痴漢、交通事故などを起こした場合懲戒解雇できるでしょうか?

本来、本人の日常生活での行為と懲戒解雇とは関係ありません。痴漢などをして犯罪となり刑務所に入った場合、仕事を提供できないという債務不履行による解雇はありえますが、痴漢そのものは会社とは関係ないはずです。

ただ、判例はこの辺り、世間の常識的に解釈しています。

痴漢・喧嘩など私生活上でのことは会社は関係ない?

やはり会社には、世間的な対面があります。というか、商品サービスが売れるかどうかは企業イメージが大きな問題ですよね?

ですので、企業秩序に直接関係する行為や、企業の社会的評価を毀損するおそれのあるものは、懲戒処分の対象となりえるとしています。

具体的には、当該行為の性質、情状、会社の事業の種類・態様・規模・会社の経済界のしめる地位。経営方針及びその従業員の会社における地位、職種等から総合的に判断となります。(最判昭和49年3月15日 日本鋼管事件)

1、まず就業規則に、解雇に私生活での非行でも解雇できることを規程し周知すること。

2、後は、非行の程度により個別検討。例えば運転手が飲酒をした場合や、責任ある役職のものが痴漢をした場合など個別に判断となっていきます。

 

 

試用期間の期間と解雇について

投稿日:2014/10/02 最終更新日:2014/10/16

例えば、試用期間を1ヶ月間に設定するのは妥当なのでしょうか?それでは1年は?3年は長いの?

試用期間に期間の制限はあるのでしょうか?

まず試用期間をつけることはまったく問題ありません。
試用期間に制限はないのですが、通常長くても半年~1年くらいまでかと思います(法律に試用期間の期間はいつまでという定めはありませんが、おおむね半年程度が望ましいという方向です)。

試用期間の解雇について

試用期間は「比較的解雇がしやすい」(できるではなく、認められやすい)というだけで、特に正社員とかわりません。

試用期間経過で本採用しない場合、会社の解雇扱いとなります(離職票も解雇となります)。

通常は労務の能力不足による普通解雇の扱いになりますね。

 

そして、解雇は「1ヶ月前の通知か1ヶ月分の給与が必要」となりますので、実は1ヶ月間の試用期間というのは現実的ではありません。

1ヶ月前に通知することを考えると、1ヶ月で採用しない場合でも翌月までの給与支払が必要になります。

ですので、最低2~3ヶ月は試用期間として、期間満了の1ヶ月前の時点で本採用するかしないかを「本人に通知する」のが妥当かと思います。

懲戒解雇を行うときの順番は

投稿日:2014/10/08 最終更新日:2014/10/20

正直なところ、犯罪行為を犯した場合や類する行為(悪質なセクハラなど)を犯した場合でないと懲戒解雇にするのは難しいところですが、それでは懲戒解雇の手順はどのようになっているのでしょうか?

懲戒解雇の手順は就業規則による

就業規則に記載がないと原則的に懲戒解雇はできません。法律がないのと同じだからです。

その手続きにそって行っていけばいいのですが、最低本人の弁明の機会の付与は必要になります。

通常

諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するおそれのあるときは、当該従業員に対し、弁明の機会を付与する。 という条文が入ると思います。

回数においては、その懲戒解雇事由の重大さや、本人が認めているのか否定しているのかなどにより異なってきますが、懲罰委員会または弁明の機会を付与した場合の議事録などは必ず作成しておいて下さい。

 

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