年俸制にした場合、残業代は払う必要があるのか?

投稿日:2014/10/09 

よく質問を頂くというか聞かれることがあります。

「箕輪さん、年俸制にしたら残業代は払わなくていいんだよね?」

残念ながら、間違っています。年俸制というのは、単純に毎月払う給与を一年分いくらで決めて考えているだけで、それが残業代を払わない根拠にはなりません。

年俸制でも残業代は通常通り支払う必要があります

その時の注意点として、例えば年俸を14で割って、2ヶ月分を賞与(ボーナス)として支給する場合でも、支払うことが確定している賃金は賞与ではなく、給与の一部とみなされます。

つまり、年俸600万円(うち賞与100万円)としても、月500,000円での残業代計算になります(平成12.2.22東基発111号、平成12.3.8基収第78号など。厚生労働省労働基準局局長からの通達により記載されております)。

ボーナスだから、残業代の計算基礎に入れなくてもよいというのは間違いなのです。もしそれがいいのならば、月給与150,000円 ボーナス4,200,000円にすれば、残業代が相当安く抑えられてしまいます。

でも人を雇うとき一年分の経費は決めておきたいじゃない

これはもっともですよね。

要は、この従業員を雇って総額でいくら経費がかかるのか?ということをあらかじめ明確にしておきたいのが本音だと思います。だから、年俸制にして残業代とかで余計な?支出は考えたくないと。

であれば、年俸制にあらかじめの固定残業代を入れておくことは可能です。上記50万円に残業代分として、月30時間 100,000円分を含むなどです。勿論、30時間を超えた場合、差額分を支払う必要はあります。

行政的には、時間外労働等が年俸に組み込まれることが明らかであり、割増賃金相当部分が法定の割増賃金以上に支払われている場合、労基法37条(割増賃金支払)に違反しないとしています。

例外的に、年俸に全てが入っているとした判例があります。モルガン・スタンレー・ジャパン事件(東京地裁平成17年10月19日)ですが、基本給2,200万円です・・・。また売上げ歩合的なものが約5,000万円となります。

わかりますでしょうか?このレベルの給与支払でないと、普通の年俸600万円とかで契約していて、年俸制残業代未払いの裁判などになったら、ほぼ会社が負けるということです。

年俸制で安心と思っている場合、早急にその年俸の内訳を変更することをおすすめします。従業員が多数いて2年分遡って支払う場合など、恐ろしい金額になりますよ・・・。

固定残業代導入の注意点

投稿日:2014/10/10 

固定残業代制はあらかじめ一定の額の残業を見越しておくものです。

現在の給与に上乗せして、固定残業代分をつけるのは問題ありませんが、多くの場合現在の給与の固定残業部分を分離させるのではないでしょうか?

現在の給与に固定残業代をいれる場合

例えば、現在300,000円の給与を残業込みにして基本給25万円と残業代5万円という部分にわけた場合、従業員の不利益変更となります。

ですので、新しく雇用契約書・労働条件通知書を作成するとともに(10人以上の会社は就業規則変更も要)、十分丁寧に説明し署名などもらう必要があります。

固定残業代の運用に注意

固定残業代にしていても、実残業時間がそれを超えると差額分は支払う必要があるのでご注意下さい。

この差額を払うというのも、何かトラブルがあったときに、その固定残業代が残業手当の一部とみなされない可能性が高くなります。

ん?お話ししていることがわからないですか?要は裁判などになった場合、固定残業制自体が残業代支払を逃れるためのものであるとみなされると、それ自固定残業制自体が否定(又は一部否定)される可能性があるのです。

脱法的なことを行った場合、法の保護に値しないということです。裁判は証拠と心証が大事。差額払いの証拠がなく、心証が悪ければかなり厳しい方向になります。ですので、差額はキチンと払う運用が必要になります。

それにしても、何かトラブルになったときのリスクはかなり少なくなります。

営業手当を残業手当にする

投稿日:2014/11/11 

一般によく揉める元となるのが、営業手当は残業手当の替わりなので、残業代は支払っていないというものです。

さて、この営業手当を残業手当とすること自体は問題ないのでしょうか?

まず、営業手当を何のために支給するのかを考えてみたいと思います。

営業手当と残業手当

営業手当には2つの性格があります。

一つ目は、外勤であればスーツや鞄、靴などが傷むだろうし、夏に喫茶店に少し入ることもあるだろうしというような、お客様と会う外回りという、営業の仕事内容にそった手当としてのものです。

もう一つ。特に営業に絡むこととして、仕事が終わった後お客様と飲みに行くこともあるだろうし、打ち合わせで遅くなることもあるだろうという、残業相当分として出すものです。

通常、営業手当は残業手当だというのは、後者の考え方の部分が強いと思います。

 

であれば、逆に基本給の額も考えず営業手当は一律3万円というのが無理があるのです。

例えば、通常の月~金8時間労働、土・日・祝休みの会社で基本給20万円 営業手当3万円だと、20時間程度分しか残業手当としてカバーできません。1日1時間程度です。でも、営業で基本給20万円というのは新入社員~25歳前後の給与です。

もし基本給30万円なら営業手当3万円だと13時間程度分にしかなりません。

営業手当の金額はもっと実態にあった形で

ですので、営業手当を残業手当の替わりとして支給することは可能ですが、全員一律というようなものではなく、基本給からその該当する時間を逆算し、就業規則や労働契約書にキチンと記載していくということになります。

ましてや、スーツや靴など営業としの職務に注目して支払うのであれば、その分金額に上乗せをかけることも大事となります。

給与は時給を元にして考える癖をつける

投稿日:2014/11/12 

残業や休日出勤等の金額を計算する場合、必ず時給単価が元になります。
アルバイトのように時間給での給与計算というのではなく、月給者も必ず時給換算の考え方が必要になります。

給与は時給で考えること

1、まず、年間の労働日数と時間を出す必要があります

2、その後従業員の時間給を把握します

例えば、年間労働時間1年間 1968時間/12ヶ月=164時間/月だとします。

給与20万円の場合 1,220円/時給です。
残業手当 1,220×1.25=1,525円/時

 

よく係長手当とかで10,000円で残業込みなどという記載を見たりします。

1万円ですと 6時間33分分がカバーとなりますので、
それ以上働いていると法律的には賃金未払いです。

もし給与40万円の人ですと、3,050円/時ですから3時間程度にしかなりません。

 

○手当などの残業代などが絡むものは、上記のように個別に給与を時給に直して換算して、実際に働いた時間にかけないと駄目です。月給で考えるからわかりにくくなるのです。

残業代、深夜手当、休日手当などは、必ず時間単価を意識して計算していくようにしてください。

36協定(サブロク)と残業

投稿日:2014/11/18 

1日の労働時間は8時間まで 週だと40時間まで。

なおかつ週に1回は休みをあげて下さい。→これが労基法の労働時間の基本です。

しかし、残業がまったくない会社などありません(たとえ5分でも残業は残業です)。

この残業と休日労働を行うために、従業員代表との協議署名の上労働基準監督署に「36協定」という書類を提出しておく必要があります。労働基準法36条に記載していあるので、36協定(サブロク)と呼ばれます。

36協定を結んでないと

簡単なように聞こえますが、これを出しておかないとても、揉めることになる可能性があります。

例えば、残業命令に違反した従業員を解雇したのですが、36協定を適法に締結していなかったため、そもそも会社に残業を命じる権限がなく、残業放棄は適法となり解雇無効になったという裁判などもあります(トーコロ事件 最高裁判決 平成13年6月22日)。

36協定の内容

ちなみに、36協定で定めることは以下のような内容です。

1、残業又は休日出勤の必要がある具体的な理由

2、業務の種類

3、対象となる従業員の人数

4、1日及び1日を超える一定期間について延長できる残業時間、又は出勤させることのできる休日

5、協定の有効期間

超えることのできる労働時間は1ヶ月で45時間、1年で360時間です。月にならすと30時間平均となります。

 

この時間を大幅に超える場合、特別条項付き36協定を結びます。例えば年末の時期は月60時間まで残業をOKとするとかの内容を結ぶわけです。

いずれにしても36協定を結んでいないと刑事罰が適用される可能性があります。相手方が労基法違反で告発もできるからです。非常に重要な書類のため、必ず適切に作成・届出をしてください。

残業は事前許可制度を徹底すること

投稿日:2015/04/09 

残業時間が非常に多い場合、社内が慢性的に残業をするのが当たり前という雰囲気になっています。

当然、残業自体削減を考えなければいけないわけですが、仕事が終わってもダラダラと無駄な?話をしていて帰らない従業員はいませんか?また、しゃべりながら仕事をしているような、いわゆるダラダラ残業をしている従業員とか。

そのような残業をほおっておいてはいけません。

間違えてはいけないのは残業を指示するのはあくまでも会社であるということです。従業員が残業を勝手にやっていいわけではないのです。
そのようなダラダラ残業を無くすため、いや会社全体の残業の削減のため、残業は必ず事前に会社に申請して承認・許可をする体制にしましょう。そうすれば、ダラダラと居残ることなどなくなります。

残業する必要がある場合、必ず上司への事前の申請→承認(許可)を必要とすることとします。

残業をすることの事前の承認→終わった後、翌日残業の結果(成果)を提出→それにたいしての確認と承認

という流れを徹底していくと、ダラダラとした成果の少ない残業や単なる居残り残業を防ぐことができます。

必ず就業規則にも残業の事前許可制度を記載し、運用は徹底していくことです。

ダラダラ残業

投稿日:2015/04/09 最終更新日:2015/04/23

従業員が勝手に残業をやっていた場合、会社が何も言わず放置すると残業代の支払が必要となる場合が多くなります。

ですので残業は事前許可制を徹底し、基本的に残業は認めないという姿勢が必要となります。
また、仕事が終わったら速やかに退社させることも徹底してください。

もし、タイムカード(及び類するもの)などで入退社を記録している会社であれば、タイムカードに打刻されたその時間が労働時間とみなされてしまうというケースが多るからです。

そんな馬鹿な?と思っても、従業員がタイムカードの時間が残業時間であると主張した場合、会社はそれを打ち崩すだけの反論と根拠を示す必要があります。

会社は実際の労働時間はタイムカードと違うと証明できるだけの証拠が必要になってしまうのです。でも、現実的に根拠は示せないと思います。日報とかメールとかかき集めてもどうかという感じですよね?

ですから、まず残業は事前許可制として、会社に居残っている場合は必ず帰社させる。
その旨を就業規則に記載して、実際の運用も徹底させるようにして下さい。

歩合給制でも残業代は必要です

投稿日:2015/04/23 

歩合給でも残業代の支払は必要と言ったら驚かれますか?

いわゆる出来高制、インセンティブ、フルコミッション制のこと。
不動産会社などの営業マン(ウーマン)やタクシー運転手などが典型といえるでしょう。私も不動産会社時代は・・・まぁいいです。

ちなみに、完全に営業歩合のみ(いわゆる完全歩合制)は違法です(外注ならOK。この場合時間拘束をしては駄目ですが)。
売れなければ給与ゼロ!だと言っても、まず働いた時間(稼動した時間)に対して、最低時給分の給与は支払う必要があります。

1日8時間、月22日稼動したら労働時間は月176時間。東京都の最低時給は888円(平成27年)ですから、156,288円/月の最低給与支払は必要となります。

歩合給の部分も残業代は必要

そして歩合制で働く労働者も、法定労働時間を超えて労働すれば、残業代の支払いは必要です。
わかりやすく、先ほどの労働時間で 160,000円/月の固定給与に、プラスして歩合200,000円だったとして、残業を20時間やったとします。

【固定部分】

160,000円/176時間/月×1.25倍×20時間=22,727円が残業代です。

それプラスして歩合分の残業手当は
200,000円/(176+20時間)×0.25倍×20時間=5,102円

つまり、歩合給部分の時給単価を出して、0.25倍の割増をかけると考えるとわかりやすいと思います。

休日手当、深夜手当も考え方は同様です。

ちなみに会社が、歩合給に残業代が含まれていると主張することがありますが、原則は無理です(歩合給に残業代分を含むが計算されて、その表示がない限り)

最高裁の判例にもなっておりますので注意する部分です(歩合給について)
高知県観光事件 最高裁 平成6.6.13 労判653号

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