期間の定めのない雇用契約の終了は、いわゆる解雇の問題になります。契約社員の雇止めの問題は、期間の定めのある雇用契約のときに起こります。
当たり前のようですが、雇用契約の期間(契約社員)を設けることは自由です。要は1年契約であれば、1年経った時点で雇用契約は終了で何の問題もありません。
しかし、労働者が契約期間満了後も労務の提供を継続し、使用者が何らの異議を述べなかった場合、同一の契約条件で契約を更新したとみなされます。要するに会社側が何も言わずに自動更新になっているパターンです。以外に多いのではないでしょうか。
また、一番多いのが契約の更新を何回も繰り替えすことです。
そうすると、従業員に「今度も更新するだろう」という期待が生まれてきます。逆にいうと勤続年数などが正社員に近い状態になっており、当たり前に更新するのが望ましいことになります。
正社員の解雇と同等の理由が必要
裁判例では、上記のような更新が繰り返された場合、解雇の法規制を類推適用することになります。つまり、正社員の解雇と同等の理由が必要になります。
1、契約の反復更新が行われ、期間の定めのない契約と実質的に異ならなくなる~東芝柳町工場事件
2、1番の期間の定めなき契約と実質的に同視まではできないけれども、契約の反復更新が行われ、労働者の雇用継続への合理的期待がみてとれる~日立メディコ事件
3、実際に契約の更新が行われたか否かに関わらず、契約が更新されることを前提に契約が締結された場合~龍神タクシー事件
1~3に関しては、解雇権濫用法理が類推適用されます。
1に間しては、通常の正社員の解雇と同様で見られ、2、3に関しては、従業員の雇用継続への合理的期待のレベルに応じて、雇止めの有効性が判断されます。反復更新の回数や、職務の内容等に応じての総合判断となります。
ちなみに、契約の途中での解約(1年契約を半年で雇止めする場合)は、解雇となります。雇止めではありません。実際のところ、本来は契約期間の途中で解雇にしたいところを、満了まで待って次回の契約を結ばないということが多いでしょうね。この場合雇止めが相当かと検討する必要があります。
まとめ
契約社員という形態は当然問題ないのですが、契約の更新を3回、4回と繰り返していくと、期間の定めのない契約と同視されたり、契約更新の期待度に応じて雇止めはしずらくなりますし、解雇同等もみなされたりします。