整理解雇(リストラ)の有効性

投稿日:2014/10/16 最終更新日:2016/09/06

バブルの後、リーマンショックの後、リストラという言葉が出てきては消えていきます。

整理解雇のことをリストラと言っているわけですが、法律的には整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇をいいます。

整理解雇の特徴は、全て使用者側の事情により行われるということです。経営上の理由による解雇ですから。

ですので、裁判を含めて紛争になった場合、その有効性を厳格に判断されます。

整理解雇の4要件(4要素)

これが絶対的に必要になってくる整理解雇の要件です。4つ全てが必要というわけではありませんが、欠けてくると無効となる可能性が高くなります。

1、経営上の人員削減の必要性

2、解雇回避努力の履行(整理解雇を選択する必要性)

3、解雇対象者の人選の合理性

4、手続き(手順)の相当性

以上の4つを常に頭に入れて手続きを進めていくことが必要となります。

整理解雇-経営上の人員削減の必要性

投稿日:2014/10/17 最終更新日:2014/10/20

整理解雇の1つの要件ですが、整理解雇(リストラ)するには呼んで字のごとし人員を削減する必要があることです。

問題になるのは、どこまでのレベルの必要性があるのかということです。

この辺り、個別具体的にならざるを得ないのですが、判例では人員削減をしないと倒産するというほどのレベルまでは必要ないとされています。

かなりの債務超過になるか、赤字の状態が長期に渡り慢性化している場合、人員削減の必要性認められることが多くなります。

逆に裁判などで人員削減の必要性が否定される曲型的な例として、整理解雇を行いつつ過大な設備投資や大幅な昇給を行う(財務状態に問題がない)、人員の補充を行っている(新規採用)場合などは、整理解雇の必要性自体を否定される可能性が高くなります。

 

昭和54年10月29日 東洋酸素事件 では、リストラするものとは別部門で相当数の新規採用がありましたが、これに関しては有効となりました。ただし、たとえば現在の製造業がそうであるように、構造的・時代的にその部門が復活する余地が低いことや年齢層が相当高いなどいろいろな事情が絡み合ってのものです。

ですので、基本的にはその部門が、今後立ち直る可能性がどれだけないのかを、資料で示していくことになります。

整理解雇回避努力-事前に他の手段を考える

投稿日:2014/10/17 最終更新日:2014/10/20

整理解雇の要件2番目に解雇回避努力の履行・整理解雇を選択する理由があります。

要はリストラというのは最終手段なわけですから、他に配転・任意退職をつのる(いわゆる早期退職など)などの、それにいたるプロセスが大事になります。

整理解雇にいたるまでに順序をふむ

手段としては 配転 出向 転籍 希望退職者の募集 非正規社員の雇止め(特に有期雇用の場合など)等々、使用者が整理解雇を回避する努力をしているかがリストラが有効になるかどうかの大きな要素になります。

ただ、現実的に、配転 出向 転籍 といっても、例えば10人の会社と1,000人の会社では意味合いがまったく違ってきます。

だから、企業の規模、組織形態、従業員数、事業の内容などにより、できうる限りの努力をするということになります。

逆に言うと、まったく解雇回避努力をせずにいきなり肩叩きをした場合、争うと解雇権濫用として解雇自体が無効になる可能性が非常に高くなります。

解雇対象者の人選は正しいのか

投稿日:2014/10/20 

整理解雇は、基本的に何人かいる従業員の中から、一部をリストラするわけです。

ですので、その対象者の選定については、客観的・合理的に公平な基準が必要となります。

出勤率・服務規律率などの勤務成績全般、整理解雇による不利益の程度などで基準を設けます。人選の基準が合理的なものであり、具体的実際の人選も合理的かつ公平でなければなりません。

基準を設け、公平にしないと駄目だが、どうしても残ってほしい人材を選択できる余地は当然ありえる。

ただし、使える従業員を実質的に全員リストラした場合、その後の企業再建に支障が出ます。

よって、使用者に最低限の人材を選択する余地も残されてはいます(特別な資格をもっているなど)。

住友重機愛媛製造所地位保全仮処分異議申立事件(松山地裁昭和62ん江5月6日)
解雇による打撃の少ない労働者を解雇の対象とするものであるが、この基準を機械的に適用するときは、企業再建にとって不可欠の人材もその対象となり、企業の経済的困難を脱し、企業再建を図るという整理解雇本来の目的に反する恐れが生じる。→よって、使用者に人材選択の余地をもたせる。

 

整理解雇を後で無効にはさせない

投稿日:2014/10/20 最終更新日:2014/10/24

整理解雇を行うとき、手続の妥当性が非常に重要視されています。
従業員との説明・協議を誠実に実行しろということですが、もし他の要件を満たす場合であっても誠実さが足りないと認定されると、無効とされるケースも多くあります。

整理解雇を実施することの必要性や、その時期、方法、選定基準など具体的事項について協議・説明する必要があります。

必ずしも従業員との同意を求めることまでは要求されているものではありません。ただ、理解を得られるように誠意をもって、何度も協議することを求められます。感覚的には、5回~10回程度は必要でないでしょうか(過去の判例でも13回だと有効とみる等があります)。

 

最終的に、どれだけの時間をかけて何回説明し、どのような代替案があったかなどが重要になります。

 

解雇日の6日前に突然リストラの通告をし、希望退職を募るなど何もしなかったとして整理解雇無効となった事案(あさひ保育園事件 昭和58年10月27日)

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