会社における労働時間とはどのような時間をいうのか?

投稿日:2014/09/12 最終更新日:2014/09/25

労働時間とは、判例によると 労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間 であり、就業規則や労働契約などによるものではなく、実態で判断するとしています。

簡単に言うと、使用者の命令があって業務に従事している時間ということです。

では、トラブルになりやすい以下の時間はどうでしょうか。

1、出勤の際の通勤時間・・・原則労働時間ではない

例外、一度事務所に集合してから現場へ行く場合などは、事務所に集合した時点が出勤時間とされた判例あり。

2、始業前・就業後の準備や後片付・・・業務に準ずるかどうかで判断

着替え時間や片付け時間は、指揮命令があれば労働時間となります。現場でのラジオ体操も強制的であれば労働時間です。

3、休憩時間・・・原則労働時間ではない

よく問題になるのが昼休みなどの交代制の電話当番です。電話番が強制的な場合(必ず1人が残っての電話当番など)労働時間となります。

4、手持ち時間・・原則労働時間

業務と業務の間の待機時間になりますので、原則的に労働時間となります。従業員が好き勝手にどこかに行けるわけではありませんので。

5、仮眠時間・・・実態により判断

仮眠時間が完全に業務がない時間なのか、警備員のように何かあれば対応する必要があるのか(それの頻度にもよります)により異なります。

6、研修時間・・・実態により判断

完全に自主的なもので、出席しなかったからといって、評価に不利益もない場合残業時間ではありませんが、会社からの命令があったり査定に響いたりなどの事情があると労働時間となります。

7、出張・・・原則労働時間ではない

通勤と同じと考えられます。ただし、出張の目的が物品の運搬である場合など、その物を持っていくこと自体が業務となります。よって、使用者の指揮監督下で労働しているといえるので、労働時間に含まれる可能性が高くなります。

8、業務中に遊んでいる時間

どういう意味と思われるかもしれませんが、実はこれもかなり問題になります。社長曰く「あいつ、いつも遊んでばかりで成績が悪かったんだ!」というものです。

事務仕事であれば、私的なネット閲覧やメール送受信、営業マンならパチンコや喫茶店など。これは労働時間になりません。なりませんが、会社がその時間遊んでいたことを証明する必要があります。ですので、頻繁になる場合会社で記録して事前に本人に確認させる方向性が必要です。

 

本人がタイムカードを出してきた場合(コピーなど)、その時間が実態と違うという反論は会社が行う必要がありますので、日常からの労務管理を大事にしてください。

残業代支払い請求の時効

投稿日:2014/09/12 最終更新日:2014/09/25

残業代の支払い請求権は2年間で時効になります。

 

起算点は従業員が権利を行使できるようになった時点からです。つまり給与の支払い日となります。

通常日給月給の場合、毎月の給与の支払い日は決まっておりますので、その支払い日から2年間経った時点で時効にかかってきます。

時効はほおっておけば勝手になるものではなく、その主張は必要になります(これを援用(えんよう)と言います)。

 

 

基本給に残業代が含まれているは問題ないのか?

投稿日:2014/09/16 最終更新日:2014/09/25

 

給与は月25万円ね!この中に残業代とか手当とか全て込んでいるから!「はい。わかりました。明日から頑張ります!」時々見かける光景ではないでしょうか。

ようするに会社の言い分としては、「毎月定額の残業代を払っている。残業がなければ、元々20万円という給与にしている。だから別に残業代を支払う必要はない。」ということです。要約すれば残業代は支払い済みということ。

まず、これは言い分としては通るでしょうか?前提条件として、民法における契約自由の原則があります。犯罪をする契約(物を盗むことを約束したとか)でなければ、原則契約は自由ということですので、原則論としては有効です。

しかし、未払いの残業代請求訴訟などになった場合、ほぼ認められない可能性が高いです。

判例では、基本給のうち時間外手当(残業など)に当たる部分を明確に区別して合意し、かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときは、その差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意した場合にのみかかる合意を有効と認めています。

要するに、基本給に込みというのは合意としては有効ではあるけれども、争いになると何時間分の残業代が入っているのかがわからないため、会社が負ける可能性が高いということです。

例外として、外資系の金融機関に勤めていた方で、年収数千万あったとき基本給に残業代が込みであるという判例などもありますが、これなどは特殊なケースです。

 

基本的な考え 基本給と残業代は必ず区別すること。年収でいくらくらいを払うのかを逆算して、基本給は決めること。

 

残業代が手当に含まれているという主張は問題ないのか?

投稿日:2014/09/16 最終更新日:2014/09/25

一般的に多いのが「営業手当」に残業代を含んでいる。「技術手当」に残業代を含んでいる。など、手当に残業代を含んでいるので、残業代は支払わないという考え方です。

結論から申しますと、手当に残業代を含めること自体は有です。しかし、トラブルになったときその手当の支払分が残業代とみなされるかどうかは、以下のような点が問題となります。

1、その手当に関しての、就業規則(賃金規程)に関しての定めがどうなっているのか。つまり、どのような意味での支給となっているのか(例:営業手当は、その全額を30時間分の残業手当の内払いとして支給するなど)。

2、その定めが定められた経緯はどうか(実務上どうなっているのか)。

3、労働契約書等の記載はどうなっているのか。従業員に対する周知はできているのか。

 

以上のようなことを勘案しての判断になります。逆に言うと文章なども交付していないようですと、手当が残業代だと認められる可能性は低くなります。

機密事務取扱者と残業代支払について

投稿日:2014/09/17 最終更新日:2014/09/25

労働基準法では、機密の事務を取り扱う者 も労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されないとされています(深夜手当は必要)。

機密事務取扱者とは

判例では定義自体を 秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者 とされています。

ただ、この秘書というのは、かなり限定的にみるべきです。管理管理職と同じように、秘書という肩書きを付けただけでは、機密事務取扱者として残業代の支払が不要とはなりません。

出張や営業など、経営者の業務等と不可分の関係でなくてはなりません。

感覚ですと、ブレイングマネージャーがもう少し経営者寄りというのでしょうか。言うなれば取締役に近い人になります。ましてや、事務(電話・スケジュール管理・コピーなど)の仕事だけしているというのでは、話になりません。

監視労働・断続的労働と残業代の支払について

投稿日:2014/09/17 最終更新日:2014/09/25

残業代支払が必要のない業種として 監視労働と断続的労働 があります。

監視労働と断続的労働とは

1、監視労働 一定の部署にあり、監視することを本来の業務とし、常態として身体または精神的緊張の少ない労働。

2、断続的労働 実作業が間欠的に行われて、手待時間の多い労働のこと。

手待時間が実作業時間以上を超えることと、実作業時間の合計が8時間を超えないことも目安になっています(厚労省の通達)。

 

業務の例としては、守衛や用務員、いわゆる重役の専属運転手、ビル警備員などが当たってきます。

何となく、通常の8時間労働という業種になじまないのはわかると思いますが、身体や精神の緊張が少ないことが要件ですので警備員、運転手等といった名称ではなく、業務の内容によって該当するか否かが個別に判断されることになります。

夜勤で仮眠があり、決まった時間にビルの見回りをするくらいの感覚であり(ただし深夜手当は必要)、いわゆる警備会社で非常ベルが鳴れば飛んでいくような仕事で緊張感がある場合難しいと思われます。

労働基準監督署の許可が必要

重要な点として監視労働・断続的労働の適用は、労働基準監督署の許可を受けることで効力が発生します。仕事の実態はどうあれ、労基署の許可を受けていないと認められませんのでご注意下さい。

事業場外みなし労働時間と残業代の支払について

投稿日:2014/09/17 最終更新日:2014/09/25

みなし労働時間というのは、何となく耳にしたことがあるかと思います。一番ポピュラーなのは、外回りの営業職など、社内にいることがほとんどなく、労働時間を把握することが難しい職種かと思います。

このような職種の従業員に対しては、事業場外のみなし労働時間制を利用することができます。労使協定によりみなし労働時間を設定して、実際に働いた時間が何時間であってもその時間であるとみなすという制度です。

要するに、会社側として、どこで何をしているのかわからない、なかなか目が行き届かないことの多い外回りの外勤社員などを一律に管理しようという制度です。夜飲みに行ったのが、仕事なのか遊びなのかもわかりませんしね。

こりゃいい制度だ!しかし・・・時代の移り変わりにより、この制度自体は運用がかなり難しくなっております。

事業場外のみなし労働時間

要件はおおむね以下の2つとなります。

1、労働者が事業場外で業務に従事しており、事業場外労働が労働時間の全部又は一部であること。

2、事業場外において、労働時間を算定しがたいこと。

注意点はこの労働時間を算定しがたいことという点です。例えば以下の場合などは認められません。

a.何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中で労働時間の管理をする者がいる場合。

b.事業場外で業務に従事するが、無線やポケベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合。

c.事業場において、訪問先、貴社時刻等日当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示とおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合。

どうでしょうか?無線やポケベルを携帯電話に置き換えると、外に出て何をやっているかまったくわからないということは、ほぼありえないと思います。

ましてや、業務終了後会社に戻って日報を書く場合などは、終業時刻が明確にわかるので、認められません。

不動産業の営業、配送の運転手などでも否定された判例がめだちます(大東建託事件、千里山協同組合事件など)

最近の新しいところでは、旅行の添乗員のみなし労働を否定した、阪急トラベルサポート事件が有名です(最判平成26年1月24日)

以下のような業務態様のみなし労働時間は、否定される可能性が高い。

ア、訪問予定をスケジュール登録したり、上司に報告したりしている。
イ、営業先や方法など、上司の指示やアドバイスを受け、スケジュールに従って行動することが基本である(会社の指示命令)。
ウ、外出中は原則として、常に携帯電話を持っており、いつでも連絡が取れる状態になっている(携帯電話のGPSによって居場所を把握する場合もあり)。
エ、帰社後は営業日報を作成し、上司に報告(退社時間等の把握)。又は帰社できなくても、その旨会社に報告している。

どうでしょうか?通常の営業はルート営業的な要素がかなりありますので、ほぼみなし労働時間対象ではない可能性が高いと思います。

給与がほぼ最低保証+営業歩合のみの、飛び込み営業などのみが対象ではないでしょうか(ちなみに完全なフルコミッションは違法です。労働時間に応じて、最低賃金分は払う必要があります)。

 

時代の流れと最初に書いたのは、携帯電話を持つのが当たり前であり、やろうと思えばGPSなどもある時代ですから、いつが終業時刻かわからないというのは基本的に無いと思われるからです。

つまり、事業場外のみなし労働時間は今後かなり認められ辛くなってくると思われます。

裁量労働時間制と残業代の支払いについて

投稿日:2014/09/17 最終更新日:2014/09/25

裁量労働時間制とは

みなし労働時間制度の中に裁量労働制というものがあります。要はあらかじめ決めておいた時間働いたことにしましょうということで、残業代の支払が必要ないというものです。

ただし、運用は中小企業ではほぼ不可能だと思われます。

1、専門業務型裁量労働時間制

きわめて業種が絞られますが、中小企業で「それ専属でやっている」という従業員がどれだけいるでしょうか?ほとんどがある程度兼用だと思います。

参考までに以下のような業務です。

(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システムの分析又は設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又はテレビ・ラジオ番組制作のための取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6) コピーライターの業務
(7) システムコンサルタントの業務
(8) インテリアコーディネーターの業務
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 証券アナリストの業務
(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12) 大学における教授研究の業務  などなど

※以上の業務であっても、チームリーダーの管理下で業務を行う場合や、対象業務に付随するアシスタント、雑用、補助的な業務は対象外となります。

また、重要なポイントとして、会社は具体的な労働時間の指示ができなくなります。→中小企業で通常ありえません。

2、企画業務型裁量労働制

導入にあたっては事業活動の中枢にあり、業務遂行に関して使用者の指示を受けず、裁量を持って創造的な仕事をする労働者に対し、一人ひとりと合意する形となります。

つまりこの段階で、いわゆる本社などで中枢の仕事をするものという仮定があるのです。使用者の指示を受けない従業員が、中小企業で何人いるか考えたらわかります。

また、導入する際は、まず労使委員会を立ち上げ、委員の5分の4の賛成を得なければならないなど、非常にハードルが高くなります。労使委員会という時点で動きが止めると思います(笑

ですので、裁量労働制というのは基本的に大企業の要望でできた制度であり、中小企業にはなじまないと考えた方がよろしいかと思います。

 

ダラダラ残業防止のための事前申告制

投稿日:2014/09/25 

どこの会社でも、仕事が終わった後、雑談をしていてなかなか帰らないような従業員がいると思います。また、残業自体もダラダラとただ残っているような状態だったりもします。

ダラダラ残業の防止

残業する場合、事前に上司に申請し許可を得る 制度を導入しましょう。
定時以降も会社残る場合、「残業の事前申請→承認」の手続きをへて、初めて残業が許可されることにするのです。
要するに、残業というのは会社の業務命令で行うものであり、従業員が勝手にやっていいものではないことを徹底させていくのです。

1、その仕事の緊急性を確認する(いつまでに終わらせるものなのか)。

2、残業をすることの事前許可と、残業の成果に対する承認が必要(残業によって何をしたのか)

という2つの項目を就業規則に記載し、運用していくことにより、ダラダラ残業を防ぐことができます。
緊急性があるものは仕方がないのですが、少しでも残業代を稼ぎたいという趣旨で会社に残っていることもありえます。ですので、仕事が終わったら速やかに退社するという指示を、毎日徹底してください。

ダラダラ残業と残業代支払

勝手に会社に残っていると言っても、ほおっておくと残業代は支払わざるを得ませんし、後での残業代請求の原因となります。

要するに、何も言わないでおいておくと、従業員が会社に自由に残っていること自体、会社が暗黙の了解で認めていると判断されることもありえます。

例えば、タイムカードなどで勤怠管理をしている会社も多いかと思いますが、そのままダラダラ残業をほおっておくとタイムカードに記録された時間が労働時間とみなされてしまいます。

その時間は残業をしていなくて雑談をしていただけだというのを立証できないと タイムカード=残業時間となる可能性が高くなります。
ですので、日常的に残業は会社の事前許可とすることを徹底していくことが、一つの会社の主張となりえます。

修業規則に事前許可制度を記載→運用を徹底

定額残業代についての判例と要件

投稿日:2014/10/07 

定額残業代を有効にするためには、どのようにしていくべきでしょうか?

有効も何も、本人同士の合意があればいいじゃないか??そのとおりだと思うのですが、結局裁判などで揉めると、それが残業代であったと立証する責任が会社にあります。

現在、いろいろな判例が入り乱れており、統一的な見解というのはないのですが、おおむね下記3つの要件が加味してあれば、認められる可能性はかなり高いと言えると思います。

基本給に残業代の一部を組み込んだ場合の定額残業代の要件

1、当たり前ですが、当事者間において定額残業代として支払うことの合意があること(及びその旨の就業規則への規程と周知など)。

2、定額残業代部分と通常の賃金のとの判別がなされていること(明確な区分性)。

3、実残業時間がその金額を上回る場合、その差額を支払うこと。

→これは、足りなければ払うというのは当たり前のことではあるので、重要な要素です。逆に足りなくても支払をしないという例が多くあります。社長さんから「払わなくてもいいんだよね?と言われたこともあります。

しかし、払わないのならば、定額残業代というのは名ばかりで、単純に脱法であり、全てが基本給であると認定される可能性がかなり高くなります。運用が雑なのに法は保護しないという考え方です。

 実現場の運用

基本給30万円(内払いとして固定残業代50,000円 27.5時間/月含む 実残業時間が内払いに足りない場合差額を支給する)というような表記で明確に表示(就業規則など)・通知(雇用契約書など)・合意しており、もし27.5時間を超えた場合、差額を支払うという運用が必要です。

判例

高知観光事件(最判平成6年6月13日)

小野里機材事件(最判昭和63年7月14日)

テックジャパン事件(最判平成24年3月8日)

他にもいくつかありますが、最高裁まで争っているということです。弁護士費用を考えただけでもなかなか大変・・・になりますよ。

 

 

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