実は、固定給+歩合給の場合、歩合給も残業代の基礎に入ります。
労働基準法上、除外できる手当は決まっており、歩合給は除外されていないからです。
従業員の頑張りに報いるため、歩合を沢山払うという考え方自体はいいのですが、だからといって残業代未払いで訴えられるのは、本末転送となります。
歩合給の残業代について説明します。
残業代計算の基礎
残業代の計算は、通常、年間所定の労働時間で見ます(前月の実日数で見る場合もあるのですが、毎月残業単価が変動するので、通常は行いません)。
今回、労働時間2040時間/年で計算します。
/12ヶ月=172時間(月の労働時間)
例えば、以下のような給与の従業員がいたとします。
基本給 240,000円
技能給 60,000円
資格手当 5,000円
残業60時間/月
歩合給この月240,000円
計算は、まず、歩合給と本給部分とわけて考えます。
固定給部分の残業代
残業単価 305,000/172=単価1773.25 ×1.25 =2,216.5円/時給
残業代 ×60= 132,994円
歩合給部分の残業代
歩合給部分単価 240,000/(172+60総労働時間)=1,034.4× 0.25 =258.6円
残業代 ×60= 15,517円
計148,512円です。合計すると、約15.0万円となります。
つまり、今回の場合歩合給は24万円はらっているのに、未払い残業代が15万円あるということになります。
役職と残業代
参考までに、労働基準法上、管理監督者に残業代はかかりませんが、これは経営者にかなり近い人です。目安は年収800~900万円以上、仮に役職手当があるとすると7.0万円前後と言われています(ただし、中小企業は役員以外当てはまらないという意見もあるくらいで、通常認められない場合も多いです。大企業の課長上級~部長クラスかと思います。)
実際、別途歩合を払っているのに、残業代を払うというのは何か納得できない部分があるかと思います。しかし、計算上は、記載したものが正しい形となるため、それを見越した上でで、給与体系は作っていくべきなのです。
歩合分は賞与で支給したり、定額残業手当を導入したりするなど。
当然に従業員の皆様に十分な説明や余裕をもって経過措置をおき、納得して頂くことも大前提で必要です。
賃金を今まで我流で決めてきたが、今後キチンとした決まりを作っていきたいなとお考えの場合など、ご相談ください。