事業場外みなし労働時間と残業代の支払について

投稿日:2014/09/17 最終更新日:2014/09/25

みなし労働時間というのは、何となく耳にしたことがあるかと思います。一番ポピュラーなのは、外回りの営業職など、社内にいることがほとんどなく、労働時間を把握することが難しい職種かと思います。

このような職種の従業員に対しては、事業場外のみなし労働時間制を利用することができます。労使協定によりみなし労働時間を設定して、実際に働いた時間が何時間であってもその時間であるとみなすという制度です。

要するに、会社側として、どこで何をしているのかわからない、なかなか目が行き届かないことの多い外回りの外勤社員などを一律に管理しようという制度です。夜飲みに行ったのが、仕事なのか遊びなのかもわかりませんしね。

こりゃいい制度だ!しかし・・・時代の移り変わりにより、この制度自体は運用がかなり難しくなっております。

事業場外のみなし労働時間

要件はおおむね以下の2つとなります。

1、労働者が事業場外で業務に従事しており、事業場外労働が労働時間の全部又は一部であること。

2、事業場外において、労働時間を算定しがたいこと。

注意点はこの労働時間を算定しがたいことという点です。例えば以下の場合などは認められません。

a.何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中で労働時間の管理をする者がいる場合。

b.事業場外で業務に従事するが、無線やポケベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合。

c.事業場において、訪問先、貴社時刻等日当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示とおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合。

どうでしょうか?無線やポケベルを携帯電話に置き換えると、外に出て何をやっているかまったくわからないということは、ほぼありえないと思います。

ましてや、業務終了後会社に戻って日報を書く場合などは、終業時刻が明確にわかるので、認められません。

不動産業の営業、配送の運転手などでも否定された判例がめだちます(大東建託事件、千里山協同組合事件など)

最近の新しいところでは、旅行の添乗員のみなし労働を否定した、阪急トラベルサポート事件が有名です(最判平成26年1月24日)

以下のような業務態様のみなし労働時間は、否定される可能性が高い。

ア、訪問予定をスケジュール登録したり、上司に報告したりしている。
イ、営業先や方法など、上司の指示やアドバイスを受け、スケジュールに従って行動することが基本である(会社の指示命令)。
ウ、外出中は原則として、常に携帯電話を持っており、いつでも連絡が取れる状態になっている(携帯電話のGPSによって居場所を把握する場合もあり)。
エ、帰社後は営業日報を作成し、上司に報告(退社時間等の把握)。又は帰社できなくても、その旨会社に報告している。

どうでしょうか?通常の営業はルート営業的な要素がかなりありますので、ほぼみなし労働時間対象ではない可能性が高いと思います。

給与がほぼ最低保証+営業歩合のみの、飛び込み営業などのみが対象ではないでしょうか(ちなみに完全なフルコミッションは違法です。労働時間に応じて、最低賃金分は払う必要があります)。

 

時代の流れと最初に書いたのは、携帯電話を持つのが当たり前であり、やろうと思えばGPSなどもある時代ですから、いつが終業時刻かわからないというのは基本的に無いと思われるからです。

つまり、事業場外のみなし労働時間は今後かなり認められ辛くなってくると思われます。


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