トラブルの元-合意があっても駄目はダメ

投稿日:2014/10/17 

従業員とトラブルになる大きな理由の一つに、私法上と公法上の約束などを一緒くたにして考えている場合が多いと思います。

簡単にいうと、残業代は払わないけどうちの会社で働くか?→はい、頑張ります!→よし!明日からこい!

労基法違反なので内容が有効か無効かは別として、合意はありますよね。これが私法

で、最初はいいけど、たいがい後で揉めます。

もう辞めますので、今までの残業代を払ってください→残業代はいらないと言っただろ!→じゃあ、労基署に行きます。

このパターンわかりますよね?無理に決まってます。払えと言われるだけです。

私法と公法のバランスを考えるのは難しいですね。

こんな例珍しいですか?いやいや、今から起業する場合など多くありません?友人同士ではじめて片方が役員でもない場合など。

結構後で喧嘩別れして、今までの残業代払えとか揉めること多いですよ。

ですので、合意があるから安心とかとんでもないことは考えない方がいいです。ましてやその合意を書面にもしてなければ、話にもなりませんよ。

 

整理解雇-経営上の人員削減の必要性

投稿日:2014/10/17 最終更新日:2014/10/20

整理解雇の1つの要件ですが、整理解雇(リストラ)するには呼んで字のごとし人員を削減する必要があることです。

問題になるのは、どこまでのレベルの必要性があるのかということです。

この辺り、個別具体的にならざるを得ないのですが、判例では人員削減をしないと倒産するというほどのレベルまでは必要ないとされています。

かなりの債務超過になるか、赤字の状態が長期に渡り慢性化している場合、人員削減の必要性認められることが多くなります。

逆に裁判などで人員削減の必要性が否定される曲型的な例として、整理解雇を行いつつ過大な設備投資や大幅な昇給を行う(財務状態に問題がない)、人員の補充を行っている(新規採用)場合などは、整理解雇の必要性自体を否定される可能性が高くなります。

 

昭和54年10月29日 東洋酸素事件 では、リストラするものとは別部門で相当数の新規採用がありましたが、これに関しては有効となりました。ただし、たとえば現在の製造業がそうであるように、構造的・時代的にその部門が復活する余地が低いことや年齢層が相当高いなどいろいろな事情が絡み合ってのものです。

ですので、基本的にはその部門が、今後立ち直る可能性がどれだけないのかを、資料で示していくことになります。

休職規程は必要なのか

投稿日:2014/10/16 最終更新日:2014/10/20

従業員の休職についてのご相談が多くあります。いわゆる「うつ病」などの精神的病の場合。

休職規程に準じて休む形になりますが、実際に休職規定は必要なのでしょうか?

休職規程は作成する必要はあるのか?

結論からお話すると、休職制度自体はなくても問題はありません。法律上ないと駄目という規定がないからですね。

ただ、よく知られていますが、解雇は1ヶ月前の通知が原則(又は1ヶ月分給与を払うか)。ですので、1ヶ月間に関しては解雇はできません(ちなみに、うつ病が労災認定された場合は複雑です。労災治療中は解雇できないため解雇自体が不可になります)。

ちなみに、そうは言っても給与1ヶ月払って「はい今日まで」というのは、実務的には認められません。よほどの理由がないと争うとほぼ負けるでしょう。

 

休職内容は、就業規則に定めがあればいいのですが、10人未満の会社で作成義務がない場合、その時々の判断にはなります。

でもAさんは半年休職OKで、Bさんは3ヶ月ね!というわけにはいかないので、ルールとして定めていく必要はあります。休職がまったく「なし」というのも従業員からみたら冷たい会社だと思われますし。

一般的には3ヶ月~半年くらいで勤続年数により変えるのが妥当かと思います(会社の規模によりまったく異なりますが)。

間違っても1年とか3年とかにしては駄目ですよ。期間は実際そこまで雇いきれるのかと考えて設定してください。

整理解雇(リストラ)の有効性

投稿日:2014/10/16 最終更新日:2016/09/06

バブルの後、リーマンショックの後、リストラという言葉が出てきては消えていきます。

整理解雇のことをリストラと言っているわけですが、法律的には整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇をいいます。

整理解雇の特徴は、全て使用者側の事情により行われるということです。経営上の理由による解雇ですから。

ですので、裁判を含めて紛争になった場合、その有効性を厳格に判断されます。

整理解雇の4要件(4要素)

これが絶対的に必要になってくる整理解雇の要件です。4つ全てが必要というわけではありませんが、欠けてくると無効となる可能性が高くなります。

1、経営上の人員削減の必要性

2、解雇回避努力の履行(整理解雇を選択する必要性)

3、解雇対象者の人選の合理性

4、手続き(手順)の相当性

以上の4つを常に頭に入れて手続きを進めていくことが必要となります。

有給休暇中の給与と手当

投稿日:2014/10/16 

有給休暇をとった場合、給与の計算はどのようにすればいいでしょうか?手当は含めるのかどうか?

通常、日給月給の従業員はそのまま何も引かずに支給している場合がほとんどだと思います。

有給中の住宅手当や夜勤手当などはどのような取り扱いになるでしょう?

まず、有給休暇に支払われる賃金は、次の3種類の内からあらかじめ就業規則などで決めておく必要があります。

1、平均賃金
2、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3、健康保険法の標準報酬日額に該当する額

3番なんかはまずないわけですが、まず1番の平均賃金。これは手当や残業などもひっくるめて、3ヶ月間の給与の平均を出すものです。ただ、休みも含めて30日などで日給計算をすることや残業代も含めるので、計算上実態と離れる場合が多いですね。

通常、2番の通常の賃金が多いかなと思います。この通常の賃金というのも難しいもので、手当はどうするという質問がよくあります。

手当は有給休暇の給与計算に入れるのか?

一般的に手当というと以下のようなものがあります。

基本給に近い形で必ず出している手当(営業手当や技術手当)などは、含むのが通常かなと思います。

その他の残業の計算基礎に入れない以下のような手当はどうしましょうか?

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時の賃金(ボーナス)
  7. 1ヶ月と超える期間ごとに支払われる賃金

6番と7番は、はずしても問題なし。

他の手当や、夜勤手当などは?

法律的には明確な取り決めはありません。

【労働交換的な手当】

たとえば夜間に労働するガードマンの業務などは、その深夜労働自体が通常の労働(所定労働)と解されますから、この従業員が有給を取得したような場合、深夜割増賃金も当然含んだ賃金を支払う必要があります。でも、たまたまその日夜勤だったという人が有給を取得した場合、夜勤手当の支給は必要ないと思われます。

【福利厚生的な手当】

住宅手当などですが、法律の趣旨から支給した方が問題ないということになります。

労働基準法第136条 「使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と規定しています。

手当は趣旨によるので明確ではないものの、支給するのが望ましいという感じになります。

 

 

 

懲戒理由は明確に全て通知すること

投稿日:2014/10/16 

懲戒解雇を始めとし、譴責、始末書、出社停止など懲戒を行うとき、明確な就業規則(又は準ずるもの)の記載が必要になります。

そして、懲戒理由を通知するとき原則として、全ての理由を通知してください。
後付で理由を付けることはできないということです。

そのため、懲罰委員会議事録、事情聴取書、処分理由がわかる書類など、事実関係を認識していたことを証明する書類の整備が大事になります。

 

判例平成8年9月26日山口観光事件

懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為の存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることは、特段の事情のない限り、許されない。

 

固定残業代導入の注意点

投稿日:2014/10/10 

固定残業代制はあらかじめ一定の額の残業を見越しておくものです。

現在の給与に上乗せして、固定残業代分をつけるのは問題ありませんが、多くの場合現在の給与の固定残業部分を分離させるのではないでしょうか?

現在の給与に固定残業代をいれる場合

例えば、現在300,000円の給与を残業込みにして基本給25万円と残業代5万円という部分にわけた場合、従業員の不利益変更となります。

ですので、新しく雇用契約書・労働条件通知書を作成するとともに(10人以上の会社は就業規則変更も要)、十分丁寧に説明し署名などもらう必要があります。

固定残業代の運用に注意

固定残業代にしていても、実残業時間がそれを超えると差額分は支払う必要があるのでご注意下さい。

この差額を払うというのも、何かトラブルがあったときに、その固定残業代が残業手当の一部とみなされない可能性が高くなります。

ん?お話ししていることがわからないですか?要は裁判などになった場合、固定残業制自体が残業代支払を逃れるためのものであるとみなされると、それ自固定残業制自体が否定(又は一部否定)される可能性があるのです。

脱法的なことを行った場合、法の保護に値しないということです。裁判は証拠と心証が大事。差額払いの証拠がなく、心証が悪ければかなり厳しい方向になります。ですので、差額はキチンと払う運用が必要になります。

それにしても、何かトラブルになったときのリスクはかなり少なくなります。

年俸制にした場合、残業代は払う必要があるのか?

投稿日:2014/10/09 

よく質問を頂くというか聞かれることがあります。

「箕輪さん、年俸制にしたら残業代は払わなくていいんだよね?」

残念ながら、間違っています。年俸制というのは、単純に毎月払う給与を一年分いくらで決めて考えているだけで、それが残業代を払わない根拠にはなりません。

年俸制でも残業代は通常通り支払う必要があります

その時の注意点として、例えば年俸を14で割って、2ヶ月分を賞与(ボーナス)として支給する場合でも、支払うことが確定している賃金は賞与ではなく、給与の一部とみなされます。

つまり、年俸600万円(うち賞与100万円)としても、月500,000円での残業代計算になります(平成12.2.22東基発111号、平成12.3.8基収第78号など。厚生労働省労働基準局局長からの通達により記載されております)。

ボーナスだから、残業代の計算基礎に入れなくてもよいというのは間違いなのです。もしそれがいいのならば、月給与150,000円 ボーナス4,200,000円にすれば、残業代が相当安く抑えられてしまいます。

でも人を雇うとき一年分の経費は決めておきたいじゃない

これはもっともですよね。

要は、この従業員を雇って総額でいくら経費がかかるのか?ということをあらかじめ明確にしておきたいのが本音だと思います。だから、年俸制にして残業代とかで余計な?支出は考えたくないと。

であれば、年俸制にあらかじめの固定残業代を入れておくことは可能です。上記50万円に残業代分として、月30時間 100,000円分を含むなどです。勿論、30時間を超えた場合、差額分を支払う必要はあります。

行政的には、時間外労働等が年俸に組み込まれることが明らかであり、割増賃金相当部分が法定の割増賃金以上に支払われている場合、労基法37条(割増賃金支払)に違反しないとしています。

例外的に、年俸に全てが入っているとした判例があります。モルガン・スタンレー・ジャパン事件(東京地裁平成17年10月19日)ですが、基本給2,200万円です・・・。また売上げ歩合的なものが約5,000万円となります。

わかりますでしょうか?このレベルの給与支払でないと、普通の年俸600万円とかで契約していて、年俸制残業代未払いの裁判などになったら、ほぼ会社が負けるということです。

年俸制で安心と思っている場合、早急にその年俸の内訳を変更することをおすすめします。従業員が多数いて2年分遡って支払う場合など、恐ろしい金額になりますよ・・・。

懲戒解雇を行うときの順番は

投稿日:2014/10/08 最終更新日:2014/10/20

正直なところ、犯罪行為を犯した場合や類する行為(悪質なセクハラなど)を犯した場合でないと懲戒解雇にするのは難しいところですが、それでは懲戒解雇の手順はどのようになっているのでしょうか?

懲戒解雇の手順は就業規則による

就業規則に記載がないと原則的に懲戒解雇はできません。法律がないのと同じだからです。

その手続きにそって行っていけばいいのですが、最低本人の弁明の機会の付与は必要になります。

通常

諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するおそれのあるときは、当該従業員に対し、弁明の機会を付与する。 という条文が入ると思います。

回数においては、その懲戒解雇事由の重大さや、本人が認めているのか否定しているのかなどにより異なってきますが、懲罰委員会または弁明の機会を付与した場合の議事録などは必ず作成しておいて下さい。

 

定額残業代についての判例と要件

投稿日:2014/10/07 

定額残業代を有効にするためには、どのようにしていくべきでしょうか?

有効も何も、本人同士の合意があればいいじゃないか??そのとおりだと思うのですが、結局裁判などで揉めると、それが残業代であったと立証する責任が会社にあります。

現在、いろいろな判例が入り乱れており、統一的な見解というのはないのですが、おおむね下記3つの要件が加味してあれば、認められる可能性はかなり高いと言えると思います。

基本給に残業代の一部を組み込んだ場合の定額残業代の要件

1、当たり前ですが、当事者間において定額残業代として支払うことの合意があること(及びその旨の就業規則への規程と周知など)。

2、定額残業代部分と通常の賃金のとの判別がなされていること(明確な区分性)。

3、実残業時間がその金額を上回る場合、その差額を支払うこと。

→これは、足りなければ払うというのは当たり前のことではあるので、重要な要素です。逆に足りなくても支払をしないという例が多くあります。社長さんから「払わなくてもいいんだよね?と言われたこともあります。

しかし、払わないのならば、定額残業代というのは名ばかりで、単純に脱法であり、全てが基本給であると認定される可能性がかなり高くなります。運用が雑なのに法は保護しないという考え方です。

 実現場の運用

基本給30万円(内払いとして固定残業代50,000円 27.5時間/月含む 実残業時間が内払いに足りない場合差額を支給する)というような表記で明確に表示(就業規則など)・通知(雇用契約書など)・合意しており、もし27.5時間を超えた場合、差額を支払うという運用が必要です。

判例

高知観光事件(最判平成6年6月13日)

小野里機材事件(最判昭和63年7月14日)

テックジャパン事件(最判平成24年3月8日)

他にもいくつかありますが、最高裁まで争っているということです。弁護士費用を考えただけでもなかなか大変・・・になりますよ。

 

 

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