整理解雇(リストラ)の有効性

投稿日:2014/10/16 最終更新日:2016/09/06

バブルの後、リーマンショックの後、リストラという言葉が出てきては消えていきます。

整理解雇のことをリストラと言っているわけですが、法律的には整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇をいいます。

整理解雇の特徴は、全て使用者側の事情により行われるということです。経営上の理由による解雇ですから。

ですので、裁判を含めて紛争になった場合、その有効性を厳格に判断されます。

整理解雇の4要件(4要素)

これが絶対的に必要になってくる整理解雇の要件です。4つ全てが必要というわけではありませんが、欠けてくると無効となる可能性が高くなります。

1、経営上の人員削減の必要性

2、解雇回避努力の履行(整理解雇を選択する必要性)

3、解雇対象者の人選の合理性

4、手続き(手順)の相当性

以上の4つを常に頭に入れて手続きを進めていくことが必要となります。

有給休暇中の給与と手当

投稿日:2014/10/16 

有給休暇をとった場合、給与の計算はどのようにすればいいでしょうか?手当は含めるのかどうか?

通常、日給月給の従業員はそのまま何も引かずに支給している場合がほとんどだと思います。

有給中の住宅手当や夜勤手当などはどのような取り扱いになるでしょう?

まず、有給休暇に支払われる賃金は、次の3種類の内からあらかじめ就業規則などで決めておく必要があります。

1、平均賃金
2、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3、健康保険法の標準報酬日額に該当する額

3番なんかはまずないわけですが、まず1番の平均賃金。これは手当や残業などもひっくるめて、3ヶ月間の給与の平均を出すものです。ただ、休みも含めて30日などで日給計算をすることや残業代も含めるので、計算上実態と離れる場合が多いですね。

通常、2番の通常の賃金が多いかなと思います。この通常の賃金というのも難しいもので、手当はどうするという質問がよくあります。

手当は有給休暇の給与計算に入れるのか?

一般的に手当というと以下のようなものがあります。

基本給に近い形で必ず出している手当(営業手当や技術手当)などは、含むのが通常かなと思います。

その他の残業の計算基礎に入れない以下のような手当はどうしましょうか?

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時の賃金(ボーナス)
  7. 1ヶ月と超える期間ごとに支払われる賃金

6番と7番は、はずしても問題なし。

他の手当や、夜勤手当などは?

法律的には明確な取り決めはありません。

【労働交換的な手当】

たとえば夜間に労働するガードマンの業務などは、その深夜労働自体が通常の労働(所定労働)と解されますから、この従業員が有給を取得したような場合、深夜割増賃金も当然含んだ賃金を支払う必要があります。でも、たまたまその日夜勤だったという人が有給を取得した場合、夜勤手当の支給は必要ないと思われます。

【福利厚生的な手当】

住宅手当などですが、法律の趣旨から支給した方が問題ないということになります。

労働基準法第136条 「使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と規定しています。

手当は趣旨によるので明確ではないものの、支給するのが望ましいという感じになります。

 

 

 

懲戒理由は明確に全て通知すること

投稿日:2014/10/16 

懲戒解雇を始めとし、譴責、始末書、出社停止など懲戒を行うとき、明確な就業規則(又は準ずるもの)の記載が必要になります。

そして、懲戒理由を通知するとき原則として、全ての理由を通知してください。
後付で理由を付けることはできないということです。

そのため、懲罰委員会議事録、事情聴取書、処分理由がわかる書類など、事実関係を認識していたことを証明する書類の整備が大事になります。

 

判例平成8年9月26日山口観光事件

懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為の存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることは、特段の事情のない限り、許されない。

 

固定残業代導入の注意点

投稿日:2014/10/10 

固定残業代制はあらかじめ一定の額の残業を見越しておくものです。

現在の給与に上乗せして、固定残業代分をつけるのは問題ありませんが、多くの場合現在の給与の固定残業部分を分離させるのではないでしょうか?

現在の給与に固定残業代をいれる場合

例えば、現在300,000円の給与を残業込みにして基本給25万円と残業代5万円という部分にわけた場合、従業員の不利益変更となります。

ですので、新しく雇用契約書・労働条件通知書を作成するとともに(10人以上の会社は就業規則変更も要)、十分丁寧に説明し署名などもらう必要があります。

固定残業代の運用に注意

固定残業代にしていても、実残業時間がそれを超えると差額分は支払う必要があるのでご注意下さい。

この差額を払うというのも、何かトラブルがあったときに、その固定残業代が残業手当の一部とみなされない可能性が高くなります。

ん?お話ししていることがわからないですか?要は裁判などになった場合、固定残業制自体が残業代支払を逃れるためのものであるとみなされると、それ自固定残業制自体が否定(又は一部否定)される可能性があるのです。

脱法的なことを行った場合、法の保護に値しないということです。裁判は証拠と心証が大事。差額払いの証拠がなく、心証が悪ければかなり厳しい方向になります。ですので、差額はキチンと払う運用が必要になります。

それにしても、何かトラブルになったときのリスクはかなり少なくなります。

年俸制にした場合、残業代は払う必要があるのか?

投稿日:2014/10/09 

よく質問を頂くというか聞かれることがあります。

「箕輪さん、年俸制にしたら残業代は払わなくていいんだよね?」

残念ながら、間違っています。年俸制というのは、単純に毎月払う給与を一年分いくらで決めて考えているだけで、それが残業代を払わない根拠にはなりません。

年俸制でも残業代は通常通り支払う必要があります

その時の注意点として、例えば年俸を14で割って、2ヶ月分を賞与(ボーナス)として支給する場合でも、支払うことが確定している賃金は賞与ではなく、給与の一部とみなされます。

つまり、年俸600万円(うち賞与100万円)としても、月500,000円での残業代計算になります(平成12.2.22東基発111号、平成12.3.8基収第78号など。厚生労働省労働基準局局長からの通達により記載されております)。

ボーナスだから、残業代の計算基礎に入れなくてもよいというのは間違いなのです。もしそれがいいのならば、月給与150,000円 ボーナス4,200,000円にすれば、残業代が相当安く抑えられてしまいます。

でも人を雇うとき一年分の経費は決めておきたいじゃない

これはもっともですよね。

要は、この従業員を雇って総額でいくら経費がかかるのか?ということをあらかじめ明確にしておきたいのが本音だと思います。だから、年俸制にして残業代とかで余計な?支出は考えたくないと。

であれば、年俸制にあらかじめの固定残業代を入れておくことは可能です。上記50万円に残業代分として、月30時間 100,000円分を含むなどです。勿論、30時間を超えた場合、差額分を支払う必要はあります。

行政的には、時間外労働等が年俸に組み込まれることが明らかであり、割増賃金相当部分が法定の割増賃金以上に支払われている場合、労基法37条(割増賃金支払)に違反しないとしています。

例外的に、年俸に全てが入っているとした判例があります。モルガン・スタンレー・ジャパン事件(東京地裁平成17年10月19日)ですが、基本給2,200万円です・・・。また売上げ歩合的なものが約5,000万円となります。

わかりますでしょうか?このレベルの給与支払でないと、普通の年俸600万円とかで契約していて、年俸制残業代未払いの裁判などになったら、ほぼ会社が負けるということです。

年俸制で安心と思っている場合、早急にその年俸の内訳を変更することをおすすめします。従業員が多数いて2年分遡って支払う場合など、恐ろしい金額になりますよ・・・。

懲戒解雇を行うときの順番は

投稿日:2014/10/08 最終更新日:2014/10/20

正直なところ、犯罪行為を犯した場合や類する行為(悪質なセクハラなど)を犯した場合でないと懲戒解雇にするのは難しいところですが、それでは懲戒解雇の手順はどのようになっているのでしょうか?

懲戒解雇の手順は就業規則による

就業規則に記載がないと原則的に懲戒解雇はできません。法律がないのと同じだからです。

その手続きにそって行っていけばいいのですが、最低本人の弁明の機会の付与は必要になります。

通常

諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するおそれのあるときは、当該従業員に対し、弁明の機会を付与する。 という条文が入ると思います。

回数においては、その懲戒解雇事由の重大さや、本人が認めているのか否定しているのかなどにより異なってきますが、懲罰委員会または弁明の機会を付与した場合の議事録などは必ず作成しておいて下さい。

 

定額残業代についての判例と要件

投稿日:2014/10/07 

定額残業代を有効にするためには、どのようにしていくべきでしょうか?

有効も何も、本人同士の合意があればいいじゃないか??そのとおりだと思うのですが、結局裁判などで揉めると、それが残業代であったと立証する責任が会社にあります。

現在、いろいろな判例が入り乱れており、統一的な見解というのはないのですが、おおむね下記3つの要件が加味してあれば、認められる可能性はかなり高いと言えると思います。

基本給に残業代の一部を組み込んだ場合の定額残業代の要件

1、当たり前ですが、当事者間において定額残業代として支払うことの合意があること(及びその旨の就業規則への規程と周知など)。

2、定額残業代部分と通常の賃金のとの判別がなされていること(明確な区分性)。

3、実残業時間がその金額を上回る場合、その差額を支払うこと。

→これは、足りなければ払うというのは当たり前のことではあるので、重要な要素です。逆に足りなくても支払をしないという例が多くあります。社長さんから「払わなくてもいいんだよね?と言われたこともあります。

しかし、払わないのならば、定額残業代というのは名ばかりで、単純に脱法であり、全てが基本給であると認定される可能性がかなり高くなります。運用が雑なのに法は保護しないという考え方です。

 実現場の運用

基本給30万円(内払いとして固定残業代50,000円 27.5時間/月含む 実残業時間が内払いに足りない場合差額を支給する)というような表記で明確に表示(就業規則など)・通知(雇用契約書など)・合意しており、もし27.5時間を超えた場合、差額を支払うという運用が必要です。

判例

高知観光事件(最判平成6年6月13日)

小野里機材事件(最判昭和63年7月14日)

テックジャパン事件(最判平成24年3月8日)

他にもいくつかありますが、最高裁まで争っているということです。弁護士費用を考えただけでもなかなか大変・・・になりますよ。

 

 

元従業員に就業規則を見せる必要があるのか

投稿日:2014/10/06 最終更新日:2014/10/20

元従業員から、退職後に就業規則や給与規定等の開示請求がきた場合、断ることはできるのでしょうか?

退職者からの就業規則開示請求

結論から申しますと、断ってもかまいません。

もっとも法律上明確に、退職者には就業規則等を見せなくてもよい などという規定はありません。

労働基準法106条で就業規則を労働者に周知させなければならない。と記載があるだけなのです。

そして、退職者は全に労働者ではありません。労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で賃金を支払われる者をいう と記載もありますので、元従業員は既にその事業所(会社)における労働者ではないのです。

労働基準監督者を通じて要請がきても同じです。ただし、民事裁判などで裁判所からの開示命令があった場合は別です。その際は開示する必要があります。

しかし、現実的にただ書類が見たいという者はいないので、多くは残業代請求か不当解雇の請求を目的にしていると思われます。

その辺りは何を目的にしているのかによって、随時判断になっていきます。

 

 

有給休暇の日に出勤したときの給与は?

投稿日:2014/10/03 最終更新日:2014/10/20

有給休暇の取得日に出勤してしまった場合、給与等はどういう取り扱いになるでしょうか?

要は1日出勤すれば、有給を取り消して1日分の給与を払うで問題ないのですが、問題になるのは急な仕事等が発生して、数時間働いた場合などです。

法律などに、有給休暇を取り消したらどうなるなどという規程はありません。そもそも労働の義務がない日なので働いてはいけないのが大前提となります。

つまり、仮に3時間だけ働いた場合でも、その日は有給休暇ではなくなります。

そして、その日は8時間ではなく、3時間分の給与を払うことになります。

ん?何か変ですよね。本人は忙しくて出勤したにもかかわらず、その日は8時間ではなく3時間分の給与になってしまうのです。

ですので、本来有給休暇の日に出勤になるのであれば、事前申請でその日は出勤日(通常の8時間の出勤日)にすればいいだけなのです。

必ず事前に有給休暇取得のルールを決めること

問題になるのは、本人が会社に言わず、勝手に出勤してしまった場合がほとんどかと思いますが、この点はくれぐれも事前に会社に申請するようにルールを決めてください。勝手に出勤してきて給与を払えというのはもってのほかです(それでも、仕事をすれば会社は払わざるをえません。つまりトラブルの元です)。

 

実務的なやり方として、法律はどうあれ、有給は返すけれども給与を1日分ひいて、3時間分しか払わないなどというようなことをしたら揉めるしかなく・・。

有給は半日単位に取得という形にして働いた分は、別途3時間分、時給換算で調整給などで払うという取り扱いになる場合が多いかと思います。法律的には間違っているのですが、まぁ本人との話し合いと合意で折衷案という感じになるかと。

 

試用期間の期間と解雇について

投稿日:2014/10/02 最終更新日:2014/10/16

例えば、試用期間を1ヶ月間に設定するのは妥当なのでしょうか?それでは1年は?3年は長いの?

試用期間に期間の制限はあるのでしょうか?

まず試用期間をつけることはまったく問題ありません。
試用期間に制限はないのですが、通常長くても半年~1年くらいまでかと思います(法律に試用期間の期間はいつまでという定めはありませんが、おおむね半年程度が望ましいという方向です)。

試用期間の解雇について

試用期間は「比較的解雇がしやすい」(できるではなく、認められやすい)というだけで、特に正社員とかわりません。

試用期間経過で本採用しない場合、会社の解雇扱いとなります(離職票も解雇となります)。

通常は労務の能力不足による普通解雇の扱いになりますね。

 

そして、解雇は「1ヶ月前の通知か1ヶ月分の給与が必要」となりますので、実は1ヶ月間の試用期間というのは現実的ではありません。

1ヶ月前に通知することを考えると、1ヶ月で採用しない場合でも翌月までの給与支払が必要になります。

ですので、最低2~3ヶ月は試用期間として、期間満了の1ヶ月前の時点で本採用するかしないかを「本人に通知する」のが妥当かと思います。

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