試用期間は社会保険に入れなくてもよいのか?

試用期間は、社会保険には入れない。

非常に多いです。よく聞きます。ただ、法律的にはどうなのでしょうか?

試用期間と社会保険

試用期間は社会保険の加入には関係なく、雇用保険・社会保険は入社日から入れる必要があります。

法律のどこにも、試用期間は入れなくてもよいという規程はありません。ですから、加入させるのが正しいという結論になります。

ちなみに、これも覚えておいて欲しいのですが、試用期間というのは通常の正社員と扱いはまったく同じです。

ただ解雇が比較的認められやすいというだけのことです(例えば労働条件で研修中という感じですから、試用期間は若干給与が安いなどは認められます)。

 

一応、社会保険に入れなくてもよい例外は、通常に営業している会社ですと以下のようになります。

【社会保険】(健康保険・厚生年金)

1、2ヶ月以内の期間限定雇用(契約社員等)

2、1日や1週の就業時間が正社員のおおむね4/3未満(つまり、平均的に1日6時間未満か32時間未満が目安)

以上の2つです。

【雇用保険】
1、当初より30日未満のみの臨時労働

2、就業時間が週20時間未満

上記に当てはまらない従業員は基本的に加入と思ってください。

 

 

出産・育児と解雇や降格、配置転換

妊娠を理由とした、解雇や降格、配置転換等は無効となります(試用期間中でも)

男女雇用機会均等法9条4項に「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とする。

という規程が明確にあります。

試用期間中だから解雇できるなどの例外もありません。

会社に入社して直ぐ妊娠が発覚しても、妊娠を理由として正式採用を見送ることはできません。
ただ、逆にいうと妊娠ではなく、能力不足や勤務態度不良等(休みや遅刻も多くなるでしょうし)で解雇になることはありえますのでご注意下さい。

産前産後休業と育児休業

産前産後期間と育児休業期間を一緒くたにして考えている例を多く見受けます。

産前産後休業期間(出産手当金)と育児休業期間(育児休業給付金)は別に考える必要はあります。

産前休業42日間→出産→産後休業56日間(出産手当金支給)
→産後休業から1年間 育児休業給付金支給
→保育園がない場合など さらに育児休業(給付金を)半年延長

という流れになります。

ちなみに、出産手当金は在籍していれば支給となりますが、育児休業給付金は「1年間雇用保険に入っている必要があります(失業手当などもらってなければ、前職も通算可)」。

 

労使協定を結べば以下の従業員は育児休業を取れない(会社は与えない)とすることはできます。

労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒むことができる。
(1) 雇入れ後1年未満の従業員
(2) 申出の日から1年以内(1歳6か月までの育児休業の申出をする場合は、6か月以内)に雇用関係が終了することが明らかな従業員
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

1年未満や週2日労働の場合など、そもそも休業を与えるのが微妙だと何となくわかりますよね。でも育児休業自体を与えないなどは法律に反するのでできません。
ですから、育児休業給付金が出ない、会社が育児休業自体を与えないということはありえます。ちなみに、上記の期間全て社会保険料は免除になるので、会社として負担はありません。

時代の流れで、とにかく出産・育児・介護などは取得する方向にはなってきています。
ですから、今後、出産での休みというのは、想定して。復帰をどうするのか等々、社内の女性(ベテランの出産経験のある方など)を窓口対応にして、確認していくとかの体制を整備する必要があるかと思います。

 

朝の掃除と労働時間

以前より減ったかもしれませんが、朝従業員で近隣の掃除をする、又は社内の清掃をする場合も多いかと思います。

ただ、この清掃に関して結構トラブルになることが多くあります。

経営者からすると、仕事の第一は掃除からスタートだ!というお気持ちが強いのではないでしょうか。

そうすると、仕事の第一というくらいで、清掃の時間はやはり労働時間なのです。清掃のために朝15分早くきてくれというのであれば、15分分の時給を払う必要があります(所定時間が8時間労働であれば、必然的に毎日15分間の残業となります)。

請求されれば払わざるを得ないのですが、防止策としては以下のような感じでしょうか。

1、あっさりと清掃時間を所定労働時間に入れてしまう。つまり、朝の仕事は掃除から始まることを明確にする。

2、掃除を自由参加にする。趣旨からはずれそうですが。

3、清掃手当のような形で、固定残業代として清掃分をあらかじめ組み込んでしまう。

3番だと、どうしても人件費があがらざるを得ませんので、掃除をすることが業務実績をあがるというのならば、朝の始業時間から掃除を開始という形ではっきり業務時間に組み込んでしまってはいかがでしょうか。

労働時間・残業時間になるのか?

残業時間とはいうものの、そもそも労働時間(ひいては残業時間)に当たる時間なのか微妙なケースがあります。

例えば次のような時間です。

労働時間にあたる時間

1、お昼休みに、来客が電話当番をしている→自由な時間ではないので、労働時間です。

2、土曜日や日曜日、業務終了後の研修→強制参加であれば、労働時間。自由参加でしたら労働時間ではありませんが、例えば不参加がボーナスの査定にかかわるなど、不利益があるのならば労働時間です。

3、朝の朝礼やラジオ体操→これも2番と同じく、強制参加なら労働時間。任意なら労働時間ではありません。

4、毎月1日に朝早く出勤して、会社の周りの道路などを掃除している→時々見ますよね。従業員全員で動労の清掃などをしている場合など。これも強制(や出席の暗黙の強制などがあれば)であれば、労働時間となります。

5、従業員がかってに残ってダラダラ残業をしていたのだが、上司が注意などをしなかった→当然、労働時間です。後で会社命令がなかったから残業代を払わないなどと言えません。

 

結局、強制的(又は黙示にせよ)会社側からの指示等があり、業務の一部を行っているかどうかを、実態として判断するというのが、労働時間の定義となります。

給与は時給を元にして考える癖をつける

残業や休日出勤等の金額を計算する場合、必ず時給単価が元になります。
アルバイトのように時間給での給与計算というのではなく、月給者も必ず時給換算の考え方が必要になります。

給与は時給で考えること

1、まず、年間の労働日数と時間を出す必要があります

2、その後従業員の時間給を把握します

例えば、年間労働時間1年間 1968時間/12ヶ月=164時間/月だとします。

給与20万円の場合 1,220円/時給です。
残業手当 1,220×1.25=1,525円/時

 

よく係長手当とかで10,000円で残業込みなどという記載を見たりします。

1万円ですと 6時間33分分がカバーとなりますので、
それ以上働いていると法律的には賃金未払いです。

もし給与40万円の人ですと、3,050円/時ですから3時間程度にしかなりません。

 

○手当などの残業代などが絡むものは、上記のように個別に給与を時給に直して換算して、実際に働いた時間にかけないと駄目です。月給で考えるからわかりにくくなるのです。

残業代、深夜手当、休日手当などは、必ず時間単価を意識して計算していくようにしてください。

営業手当を残業手当にする

一般によく揉める元となるのが、営業手当は残業手当の替わりなので、残業代は支払っていないというものです。

さて、この営業手当を残業手当とすること自体は問題ないのでしょうか?

まず、営業手当を何のために支給するのかを考えてみたいと思います。

営業手当と残業手当

営業手当には2つの性格があります。

一つ目は、外勤であればスーツや鞄、靴などが傷むだろうし、夏に喫茶店に少し入ることもあるだろうしというような、お客様と会う外回りという、営業の仕事内容にそった手当としてのものです。

もう一つ。特に営業に絡むこととして、仕事が終わった後お客様と飲みに行くこともあるだろうし、打ち合わせで遅くなることもあるだろうという、残業相当分として出すものです。

通常、営業手当は残業手当だというのは、後者の考え方の部分が強いと思います。

 

であれば、逆に基本給の額も考えず営業手当は一律3万円というのが無理があるのです。

例えば、通常の月~金8時間労働、土・日・祝休みの会社で基本給20万円 営業手当3万円だと、20時間程度分しか残業手当としてカバーできません。1日1時間程度です。でも、営業で基本給20万円というのは新入社員~25歳前後の給与です。

もし基本給30万円なら営業手当3万円だと13時間程度分にしかなりません。

営業手当の金額はもっと実態にあった形で

ですので、営業手当を残業手当の替わりとして支給することは可能ですが、全員一律というようなものではなく、基本給からその該当する時間を逆算し、就業規則や労働契約書にキチンと記載していくということになります。

ましてや、スーツや靴など営業としの職務に注目して支払うのであれば、その分金額に上乗せをかけることも大事となります。

契約社員の雇止めはできるのか?

雇止めが有効かどうかは、主に2つの段階にわけて考える必要があります。

1、労働者の雇用継続されるのではないかという期待に対して、その期待に合理性が認められるかどうか(つまり、労働者の有利な状態である、期間の定めのない契約と同視できるのかどうか)。

2、上記が認められたとして(期間の定めのない契約と同視できる状態)、解雇することが解雇権濫用となるのかどうか?

期間の定めのある契約が、期間の定めのない契約と実質的に異ならないのかどうかの判断ポイント

  1. 担当している業務の内容
  2. 契約上の地位の継続性等(臨時の仕事が恒久的なものか)
  3. 更新の回数
  4. 更新時に行っている手続きの内容(契約書、通知の時期)
  5. 勤続年数
  6. 他の従業員の手続きの取り扱いや、更新手続きの厳格性の程度
  7. 採用時の更新に対しての説明の有無・内容

これらの事情を考慮して、契約社員ではあるが既に通常の期間の定めのない正社員と同じ状態かどうか判断となります。 また、同じ状態だとして、解雇することが解雇権濫用になるのかどうかという判断です。

これらは、雇用契約時に雇用契約書をキチンと新規に作りなおして、その旨説明していること(自動更新などはしていないこと)、また契約更新をあおるかのようなことを言っていない(いつまでも働いてくれ等の期待をあおること)ことも重要です。 更新の回数などによって、更新できない(雇止めをする)合理的な理由の証明が必要になります。

契約社員の更新をしないときの問題点

期間の定めのない雇用契約の終了は、いわゆる解雇の問題になります。契約社員の雇止めの問題は、期間の定めのある雇用契約のときに起こります。

当たり前のようですが、雇用契約の期間(契約社員)を設けることは自由です。要は1年契約であれば、1年経った時点で雇用契約は終了で何の問題もありません。

しかし、労働者が契約期間満了後も労務の提供を継続し、使用者が何らの異議を述べなかった場合、同一の契約条件で契約を更新したとみなされます。要するに会社側が何も言わずに自動更新になっているパターンです。以外に多いのではないでしょうか。

また、一番多いのが契約の更新を何回も繰り替えすことです。

そうすると、従業員に「今度も更新するだろう」という期待が生まれてきます。逆にいうと勤続年数などが正社員に近い状態になっており、当たり前に更新するのが望ましいことになります。

正社員の解雇と同等の理由が必要

裁判例では、上記のような更新が繰り返された場合、解雇の法規制を類推適用することになります。つまり、正社員の解雇と同等の理由が必要になります。

1、契約の反復更新が行われ、期間の定めのない契約と実質的に異ならなくなる~東芝柳町工場事件

2、1番の期間の定めなき契約と実質的に同視まではできないけれども、契約の反復更新が行われ、労働者の雇用継続への合理的期待がみてとれる~日立メディコ事件

3、実際に契約の更新が行われたか否かに関わらず、契約が更新されることを前提に契約が締結された場合~龍神タクシー事件

 

1~3に関しては、解雇権濫用法理が類推適用されます。

1に間しては、通常の正社員の解雇と同様で見られ、2、3に関しては、従業員の雇用継続への合理的期待のレベルに応じて、雇止めの有効性が判断されます。反復更新の回数や、職務の内容等に応じての総合判断となります。

ちなみに、契約の途中での解約(1年契約を半年で雇止めする場合)は、解雇となります。雇止めではありません。実際のところ、本来は契約期間の途中で解雇にしたいところを、満了まで待って次回の契約を結ばないということが多いでしょうね。この場合雇止めが相当かと検討する必要があります。

まとめ

契約社員という形態は当然問題ないのですが、契約の更新を3回、4回と繰り返していくと、期間の定めのない契約と同視されたり、契約更新の期待度に応じて雇止めはしずらくなりますし、解雇同等もみなされたりします。

解雇予告手当の支払は必要か

使用者(会社側)から、従業員に解雇を告げる場合1ヶ月前(30日前)に行うことが必要です。また、1ヶ月前に言わないで即日解雇ならは、解雇予告手当の支払が必要になります。

これは何となくご存知ですよね(ちなみに30日前に言ったから解雇なんてできません。判例上、かなりの正当事由が必要になるからです)。

解雇予告手当と試用期間

またこれは試用期間中も同じです。つまり、試用期間が満了したときに解雇する場合、試用期間満了の30日前には通知する必要があります。

解雇予告手当を支払わなくてもよい例外があります。

  1. 日々雇い入れられる者で1ヶ月以内の雇用の者
  2. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
  3. 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
  4. 試用期間中で14日以内の者

以上の4つの場合、解雇予告手当の支払は必要ありません。

問題になりやすいところは、辞表・退職届けなどが出ていても、従業員側から実態は解雇であったとの主張がある場合などです。例えば給与を下げる旨通知し、承諾しなくて退職をした場合などです。

この場合、辞表は勿論のこと、退職に関しての合意書(後で異議は言わないなど)などを作成しておくのが第一です。

解雇予告除外認定

従業員に解雇事由があって会社が解雇した場合、当たり前のようではありますが、解雇予告手当は必要ありません。しかし、この従業員に解雇事由があったというのを主張・立証するのはなかなか骨が折れます。

刑法犯罪は比較的認められやすい方向です(ただし、出来心レベルは難しい)。

ものの本によると、労働基準監督署の解雇予告除外認定を取れば、解雇予告手当の支払いは必要ないと書かれています。ただし、これはほとんど出ることはありません。

なぜかと言うと、相手の言い分を聞いて判断となるからです。相手が「僕が悪いことをしたので、解雇は仕方ないと思っております」なんて言う訳はありませんので。

ですので、実務上はほぼ出ないと思ってください。結局無断欠勤で出てこないとか、使い込みをしたとかの場合、状況によって従業員の責と認定するという感じです。

再雇用と勤務延長の違い

定年の引上げと継続雇用制度の違いはご存知ですか?

以下の3つの内、どれかの制度を導入する必要があります。平成25年からは「65歳まで」が義務となります。

定年の引上げか継続雇用か

  1. 定年の引上げ
  2. 定年の定めの廃止
  3. 再雇用か勤務延長制度の導入(これを総称して継続雇用制度)

3番の継続雇用制度は、正確に言うと2つの種類があります。

1、再雇用制度・・・定年年齢で一旦退職 → その後新たに雇用契約を結ぶ。
2、勤務延長制度・・・今までの雇用契約を終了させることなく雇用を継続(60歳前とは違う労働条件でも問題なし)。

再雇用と勤務延長の違い

主に退職金と社会保険料が違ってきます。

【退職金】

退職金について会社との雇用関係が続いている状態で支払われる退職金は、税制上恩恵が大きい「退職所得」ではなく「一時所得」となる可能性があります(※退職金規定の内容等により見解もわかれるようですが)。

【社会保険】

勤務延長で給与がダウンした場合、社会保険の資格はそのままで、社会保険の保険料は随時改定となり、4か月後から下がります。

再雇用制度で給与がダウンした場合、一旦退職し翌日から再雇用となりますので、給与が下がった月から保険料も下がります。

これは大きな違いです。

勤務延長は、昔定年が55歳とか60歳だったので、そのまま勤務を延長するという意味で作られた規定で、現在定年年齢にしても継続雇用にしても、65歳まで雇うようにしてくれという法律になっていますので、勤務延長を選択する意味はあまりないかと思います。再雇用制度にした方が何かとわかりやすいですし無難です。

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