元従業員に就業規則を見せる必要があるのか

投稿日:2014/10/06 最終更新日:2014/10/20

元従業員から、退職後に就業規則や給与規定等の開示請求がきた場合、断ることはできるのでしょうか?

退職者からの就業規則開示請求

結論から申しますと、断ってもかまいません。

もっとも法律上明確に、退職者には就業規則等を見せなくてもよい などという規定はありません。

労働基準法106条で就業規則を労働者に周知させなければならない。と記載があるだけなのです。

そして、退職者は全に労働者ではありません。労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で賃金を支払われる者をいう と記載もありますので、元従業員は既にその事業所(会社)における労働者ではないのです。

労働基準監督者を通じて要請がきても同じです。ただし、民事裁判などで裁判所からの開示命令があった場合は別です。その際は開示する必要があります。

しかし、現実的にただ書類が見たいという者はいないので、多くは残業代請求か不当解雇の請求を目的にしていると思われます。

その辺りは何を目的にしているのかによって、随時判断になっていきます。

 

 

有給休暇の日に出勤したときの給与は?

投稿日:2014/10/03 最終更新日:2014/10/20

有給休暇の取得日に出勤してしまった場合、給与等はどういう取り扱いになるでしょうか?

要は1日出勤すれば、有給を取り消して1日分の給与を払うで問題ないのですが、問題になるのは急な仕事等が発生して、数時間働いた場合などです。

法律などに、有給休暇を取り消したらどうなるなどという規程はありません。そもそも労働の義務がない日なので働いてはいけないのが大前提となります。

つまり、仮に3時間だけ働いた場合でも、その日は有給休暇ではなくなります。

そして、その日は8時間ではなく、3時間分の給与を払うことになります。

ん?何か変ですよね。本人は忙しくて出勤したにもかかわらず、その日は8時間ではなく3時間分の給与になってしまうのです。

ですので、本来有給休暇の日に出勤になるのであれば、事前申請でその日は出勤日(通常の8時間の出勤日)にすればいいだけなのです。

必ず事前に有給休暇取得のルールを決めること

問題になるのは、本人が会社に言わず、勝手に出勤してしまった場合がほとんどかと思いますが、この点はくれぐれも事前に会社に申請するようにルールを決めてください。勝手に出勤してきて給与を払えというのはもってのほかです(それでも、仕事をすれば会社は払わざるをえません。つまりトラブルの元です)。

 

実務的なやり方として、法律はどうあれ、有給は返すけれども給与を1日分ひいて、3時間分しか払わないなどというようなことをしたら揉めるしかなく・・。

有給は半日単位に取得という形にして働いた分は、別途3時間分、時給換算で調整給などで払うという取り扱いになる場合が多いかと思います。法律的には間違っているのですが、まぁ本人との話し合いと合意で折衷案という感じになるかと。

 

試用期間の期間と解雇について

投稿日:2014/10/02 最終更新日:2014/10/16

例えば、試用期間を1ヶ月間に設定するのは妥当なのでしょうか?それでは1年は?3年は長いの?

試用期間に期間の制限はあるのでしょうか?

まず試用期間をつけることはまったく問題ありません。
試用期間に制限はないのですが、通常長くても半年~1年くらいまでかと思います(法律に試用期間の期間はいつまでという定めはありませんが、おおむね半年程度が望ましいという方向です)。

試用期間の解雇について

試用期間は「比較的解雇がしやすい」(できるではなく、認められやすい)というだけで、特に正社員とかわりません。

試用期間経過で本採用しない場合、会社の解雇扱いとなります(離職票も解雇となります)。

通常は労務の能力不足による普通解雇の扱いになりますね。

 

そして、解雇は「1ヶ月前の通知か1ヶ月分の給与が必要」となりますので、実は1ヶ月間の試用期間というのは現実的ではありません。

1ヶ月前に通知することを考えると、1ヶ月で採用しない場合でも翌月までの給与支払が必要になります。

ですので、最低2~3ヶ月は試用期間として、期間満了の1ヶ月前の時点で本採用するかしないかを「本人に通知する」のが妥当かと思います。

痴漢・喧嘩など私生活上での非行行為で懲戒解雇できるのか?

投稿日:2014/09/30 最終更新日:2014/10/16

私生活での非行というと少しわかりにくいですが、例えば私生活上で喧嘩、痴漢、交通事故などを起こした場合懲戒解雇できるでしょうか?

本来、本人の日常生活での行為と懲戒解雇とは関係ありません。痴漢などをして犯罪となり刑務所に入った場合、仕事を提供できないという債務不履行による解雇はありえますが、痴漢そのものは会社とは関係ないはずです。

ただ、判例はこの辺り、世間の常識的に解釈しています。

痴漢・喧嘩など私生活上でのことは会社は関係ない?

やはり会社には、世間的な対面があります。というか、商品サービスが売れるかどうかは企業イメージが大きな問題ですよね?

ですので、企業秩序に直接関係する行為や、企業の社会的評価を毀損するおそれのあるものは、懲戒処分の対象となりえるとしています。

具体的には、当該行為の性質、情状、会社の事業の種類・態様・規模・会社の経済界のしめる地位。経営方針及びその従業員の会社における地位、職種等から総合的に判断となります。(最判昭和49年3月15日 日本鋼管事件)

1、まず就業規則に、解雇に私生活での非行でも解雇できることを規程し周知すること。

2、後は、非行の程度により個別検討。例えば運転手が飲酒をした場合や、責任ある役職のものが痴漢をした場合など個別に判断となっていきます。

 

 

社内での犯罪や不正行為をした場合の懲戒解雇

投稿日:2014/09/29 最終更新日:2014/10/16

社内での横領、背任、窃盗、暴行(上司を殴るなど)、取引先への利益供与などいわゆる犯罪又はそれに近い不正行為を従業員がおかした場合、懲戒解雇はできるのでしょうか?

従業員が犯罪や不正行為を行ったとき、懲戒解雇はできるのか?

刑事告訴された場合(つまり刑務所行きになった場合)は、就業規則に記載があれば解雇することにそれほど苦労はない方向になります。というか、現実的に出社できないのですから自然と退職となっていく可能性が高くなります。

ただ、警察ではなく社内で処理した場合(金額が少ないなど被害が軽微な場合、応々にしてありえると思います)、犯罪行為が存在すること、及びその犯罪行為を従業員が行ったことの立証が必要になります。

現行犯であればともかく、後で立証するのはなかなか困難な場合が多いかと思いますが、これが第一です。

その上で就業規則の規程に照らし合わせて、処分を決めていく形になります。ちなみに就業規則に記載がない場合、解雇はほぼできません。自主退社を促すしかないですね。

取引先から利益を得た場合などの(裏でお金をバックしてもらった等)の懲戒解雇

不正行為があったという証明や、その従業員がやったことに対しての証明をすることは上記と同じです。

 

それに加えて懲戒解雇をするだけの大きな問題かという視点があります。

例えば、取引先からビール券1万円をもらったら?良くはないけど儀礼の内でしょうか?

10万円なら?ちょっと多いな。二度とやるなよでしょうか?

100万円なら?ちょっとこっちにこい!でしょうか?

では、取引先から見返りに、80万円程度の軽自動車をプレゼントしてもらっていたら??

 

でも本来、金額が多いから駄目で、少ないからよいというのもおかしな考えですよね。

ですので、この部分は不正行為が企業活動や企業秩序に与えた影響や悪質性、類似の不正行為が過去にあった場合の処分事例などを検討します。

例えば、以前は同様の事件があって始末書だったのに、今回は懲戒解雇というのは認められないと思います。

この辺り、その事柄の重大さと処分のバランスをみながら、慎重に判断していくこととなります。

 

業務命令違反を犯した場合の懲戒解雇

投稿日:2014/09/25 最終更新日:2014/10/16

業務命令に違反することは懲戒解雇事由にはなります。業務命令というのは、日々の業務における指揮命令から転勤などかなり広範囲にはなります。

変な言い方ですが、業務命令違反を懲戒事由とすることは(一番重いのが解雇)、業務命令自体が適法・適当なものである必要があります。

適法・適当というのは、例えば転勤を命じた場合に従業員に介護すべき家族がいる場合など、やむをえない事情や酌むべき事情がある場合、また軽微な業務命令違反の場合などは、懲戒解雇自体が懲戒権の濫用として無効とされる可能性がかなり高くなります。

日常業務における指揮命令違反にしても、よほどの重大性・悪質性がないと、通常の日常業務命令違反(上司の言いつけを守らないなど)による解雇は難しいと思われます。

業務命令違反による解雇

これは、逆説ではありますがいきなりの懲戒解雇は難しいため、じょじょに段階をおって厳しい処分にしていくというステップを踏まなければいけません。

要は、口頭注意から反省文、始末書、減給(や出勤停止)と段階を追っていき、懲戒解雇がやむを得なかったという状態にまでなることです。辞令・業務命令書や指導を行った場合の書面・メール等は懲戒解雇が有効であると主張する場合、会社に立証責任がありますので、気をつけてください。

それでも、できれば懲戒解雇よりは、能力不足や債務不履行による普通解雇の方向にした方が問題はありませんが。

ダラダラ残業防止のための事前申告制

投稿日:2014/09/25 

どこの会社でも、仕事が終わった後、雑談をしていてなかなか帰らないような従業員がいると思います。また、残業自体もダラダラとただ残っているような状態だったりもします。

ダラダラ残業の防止

残業する場合、事前に上司に申請し許可を得る 制度を導入しましょう。
定時以降も会社残る場合、「残業の事前申請→承認」の手続きをへて、初めて残業が許可されることにするのです。
要するに、残業というのは会社の業務命令で行うものであり、従業員が勝手にやっていいものではないことを徹底させていくのです。

1、その仕事の緊急性を確認する(いつまでに終わらせるものなのか)。

2、残業をすることの事前許可と、残業の成果に対する承認が必要(残業によって何をしたのか)

という2つの項目を就業規則に記載し、運用していくことにより、ダラダラ残業を防ぐことができます。
緊急性があるものは仕方がないのですが、少しでも残業代を稼ぎたいという趣旨で会社に残っていることもありえます。ですので、仕事が終わったら速やかに退社するという指示を、毎日徹底してください。

ダラダラ残業と残業代支払

勝手に会社に残っていると言っても、ほおっておくと残業代は支払わざるを得ませんし、後での残業代請求の原因となります。

要するに、何も言わないでおいておくと、従業員が会社に自由に残っていること自体、会社が暗黙の了解で認めていると判断されることもありえます。

例えば、タイムカードなどで勤怠管理をしている会社も多いかと思いますが、そのままダラダラ残業をほおっておくとタイムカードに記録された時間が労働時間とみなされてしまいます。

その時間は残業をしていなくて雑談をしていただけだというのを立証できないと タイムカード=残業時間となる可能性が高くなります。
ですので、日常的に残業は会社の事前許可とすることを徹底していくことが、一つの会社の主張となりえます。

修業規則に事前許可制度を記載→運用を徹底

無断欠勤・遅刻・早退(職務懈怠)と懲戒解雇

投稿日:2014/09/25 最終更新日:2014/10/16

無断欠勤や遅刻・早退が相次いだ場合、どれくらいの頻度であれば懲戒解雇できるでしょうか?

これは従業員が「仕事をする」という約束に対しての債務不履行です。この場合、懲戒処分が許されるのは欠勤等が企業秩序を乱したなど、士気の低下をまねいた場合に限られます。

職務懈怠の程度はかなり重く、極めて悪質であるような場合であることが必要です。

具体的な判例では、6ヶ月間の遅刻が24回、欠勤が14日に上った場合(事前届出があったのは1回)。無断欠勤が4ヶ月に及んだ場合などがあります。

勿論、全て着とくはとっておかないと駄目です。出勤しなかったというのを主張・立証するのは会社側です。

履歴書の嘘など経歴詐称で懲戒解雇できるのか

投稿日:2014/09/24 最終更新日:2014/10/16

履歴書などの経歴書を詐称して入社してきた場合、すぐにでも解雇したいのが人情ではあります。が、だからと言って簡単にクビにはできません。

一般的に問題になるのが、学歴及び今までの職歴(経験)、犯罪歴などかと思います。

考え方としては、すべての経歴詐称が直ぐに懲戒処分の対象となるわけではなく、真実を告知したならば採用しなかったであろう、重大な経歴詐称に当たる場合、懲戒解雇が有効とされることが多くなります。

 経歴詐称と懲戒解雇のポイント

以下のようなポイントがあります(判例:炭研精工事件 最判平成3年9月19日)

1、使用者が企業秩序の維持のため経歴の申告を求めた場合、労働者は信義則上、これに真実をもって応ずべき義務があります。

つまり、真摯に今までの経歴などを告知する必要があります。実務的には、事前に履歴書や職務経歴書での判断となるかと思います。

2、その上で、経歴詐称があった場合、懲戒解雇が有効かどうかの判断は、真実を告知していたならば採用しなかったであろう重大な経歴の詐称であったかどうか?という点を基準とします。

要するに、経歴詐称がなければ採用しなかったのか可能性がどれだけあるのか、実際の業務にどれだけ支障があるのか?人員配置等に阻害が出たのかなどの程度に応じて検討となります。

業務を行うにおいて、どれだけ重大なレベルの詐称なのかということですね。

3、学歴や職歴の詐称は、労働力の適正な配置を誤らせるような場合には、懲戒解雇が有効となります。会社の職位が学歴別により設定されている場合、学歴を確定的な採用条件としている場合など。

つまり、今後の出世などにおいて学歴を重要な判断基準としている場合です。

職歴においては、その業務を行うために経験者を雇用しようとしたなど、その職務の内容が大きな判断基準となります。

参考までに、履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)をいい、裁判中のものなどは含まれません。ですので採用後に発覚した場合の一文も就業規則に入れる必要はあります。

解雇期間中の賃金

投稿日:2014/09/24 最終更新日:2014/10/16

解雇が無効であるとの判決等(又は準ずるもの)が出た場合、会社による解雇言い渡しから判決までの間の賃金はどのような扱いになるでしょうか?

要するに、勤務していなかったのですからノーワーク・ノーペイで、その間の賃金は支払う必要がないとも思えます。

不当解雇の場合の賃金請求権

しかし、故意・過失などによって、使用者の責任で就業ができなかった場合、労働者は、反対給付としての賃金の請求権を失いません(民法536条2項)。つまり、解雇が無効ということであれば、そもそも本来認められない解雇により(故意・過失により)、従業員が労働できない状態にさせたということになります。

対象となるのは、毎月確実に支給される賃金です。つまり、通勤手当や残業手当などは入りません。

ちなみに、参考までに天変地異など使用者の故意・過失とまではいえない事情で、就労できなくなった場合、賃金請求権は発生しません。そのような場合、その休業期間中、使用者は労働者に対して平均賃金の6割以上の休業手当を支払う形になります(労基法26条 休業手当)。

従業員が他で収入を得ていた場合

しかし、違法な解雇を争って裁判をしている従業員が、その間に他で労働して得た収入があった場合(中間収入という)、賃金額から中間収入を控除する形となります。

従業員が使用者への労務の提供を免れることにより、他から収入を得ることができたわけであり、賃金の二重取りをすることは不合理だからです。

判例では、中間収入の控除は平均賃金の4割相当額以内として、平均賃金の6割の支払いは確保すべきであるとされています。つまり、解雇無効の判決が出た場合、他で働いていた期間の賃金の6割は支払う必要があります。

 

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