労働基準監督署の呼び出しを無視できるか?

投稿日:2014/11/06 

よく質問を受けます。会社から、労働基準監督署の調査は拒否できないのかと。

無視又はシカトですが・・・誠に残念ながら調査の拒否はできません。

調査を無視できない理由

法令上、労働基準監督署の監督官には、強制的に会社に立ち入り調査ができる強い権限が与えられています。更に悪質な場合、書類送検などをすることもできます。

労働基準法等の労働関係法律において、労基署の監督官は、部分、司法警察官やマルサと同じような職権をもっていると考えておいた方が無難です。
そもそも、労基法は刑法とイコールです。だって、罰金などの罰則がありますので。

言い方はキツイですが、あまり無視すると犯罪者になりえるということです。

 

もし社長や担当者が不在の場合、それ以上調査をするかどうかは、監督官の考えや事例の内容(証拠隠滅の恐れなど)によります。

ある程度調査には協力しつつも、会社の言い分がある場合主張するという体裁をとることをお薦めします。

(参考:労働基準法 監督官の権限一覧)
第101条(労働基準監督官の権限)
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

第104条の2(報告等)
行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる

第120条  次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
4 第101条(~)の規定による労働基準監督官又は女性主管局長若しくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者

 

労働基準監督署の権限

投稿日:2014/11/05 最終更新日:2014/11/06

労働基準監督署から通知・是正勧告があった場合、無視するとどうなるでしょうか?

例えば、警察官は犯罪者を捕まえるわけですが、刑期の長さは裁判所が決めます。
また、犯罪で損害を負ったにしても(例:窃盗や障害など)、警察官が損害賠償を請求してはくれません。

労働基準監督署も考え方は同じです。

例えば、従業員が監督署に残業代の未払いがあると申告したとします。
監督官は(程度の重さにより、会社に電話等で連絡又は会社に調査に行き)、通常是正勧告という書類を出します。

この是正勧告を無視した場合でも、労働基準監督署は未払いの残業代を会社に「むりやり払え」と強制することはできないのです。
もっと言うと、それを強制できるのは民事上の合意か、差し押さえなどの裁判所による強制手段が必要になります。

法律的に違反があるかどうかの行政指導であり、民事不介入(強制的に払わす行為)ということです。

 

ただし、是正勧告を含めて全てを無視すると、検察に送致され犯罪者になる可能性がありますし、その後マークされるのも現実的ではないと思います。

ですので、会社の主張は主張として、是正勧告にはある程度のところで応じるという姿勢が大事かと思われます。

労働基準監督署の調査で持参する書類

投稿日:2014/11/05 

労働基準監督署の調査で、通常用意して持参する書類があります。

勿論、案件にもよるので事前に持参の必要がある書類は記載してあります。

以下の書類は法律(労働基準法など)でも設置が義務付けられているものです。

労働基準監督署に提出する書類

  1. 労働者名簿
  2. 労働条件通知書(雇用契約書)
  3. 賃金台帳(給与、労働時間、出勤日数等の記載)
  4. 出勤簿かタイムカードなど出勤記録
  5. 就業規則(10人以上の事業所)
  6. 時間外労働、休日労働に関する協定届け(通称36協定サブロク協定)
  7. 1年単位の変形労働時間制の協定など(ある場合)
  8. 健康診断個人結果票(診断記録など)
  9. その他(案件に応じて)

上記の書類に関して備えていない場合、労働基準監督署から呼び出しがあった後でも仕方ないので、なるべく作成してください。

ない場合、どちらにしても是正勧告又は指導票で作成をするように指導されることになります。

上で書きましたが、上記の書類は労働基準法などの法律で備え付けが必要な書類です。

労働基準監督署は、法律違反の場合に是正指導などを行う形なので、上記の書類は少しずつでも備え付けて行くようにして下さい。

契約社員の雇止めはできるのか?

投稿日:2014/11/04 

雇止めが有効かどうかは、主に2つの段階にわけて考える必要があります。

1、労働者の雇用継続されるのではないかという期待に対して、その期待に合理性が認められるかどうか(つまり、労働者の有利な状態である、期間の定めのない契約と同視できるのかどうか)。

2、上記が認められたとして(期間の定めのない契約と同視できる状態)、解雇することが解雇権濫用となるのかどうか?

期間の定めのある契約が、期間の定めのない契約と実質的に異ならないのかどうかの判断ポイント

  1. 担当している業務の内容
  2. 契約上の地位の継続性等(臨時の仕事が恒久的なものか)
  3. 更新の回数
  4. 更新時に行っている手続きの内容(契約書、通知の時期)
  5. 勤続年数
  6. 他の従業員の手続きの取り扱いや、更新手続きの厳格性の程度
  7. 採用時の更新に対しての説明の有無・内容

これらの事情を考慮して、契約社員ではあるが既に通常の期間の定めのない正社員と同じ状態かどうか判断となります。 また、同じ状態だとして、解雇することが解雇権濫用になるのかどうかという判断です。

これらは、雇用契約時に雇用契約書をキチンと新規に作りなおして、その旨説明していること(自動更新などはしていないこと)、また契約更新をあおるかのようなことを言っていない(いつまでも働いてくれ等の期待をあおること)ことも重要です。 更新の回数などによって、更新できない(雇止めをする)合理的な理由の証明が必要になります。

契約社員の更新をしないときの問題点

投稿日:2014/10/28 

期間の定めのない雇用契約の終了は、いわゆる解雇の問題になります。契約社員の雇止めの問題は、期間の定めのある雇用契約のときに起こります。

当たり前のようですが、雇用契約の期間(契約社員)を設けることは自由です。要は1年契約であれば、1年経った時点で雇用契約は終了で何の問題もありません。

しかし、労働者が契約期間満了後も労務の提供を継続し、使用者が何らの異議を述べなかった場合、同一の契約条件で契約を更新したとみなされます。要するに会社側が何も言わずに自動更新になっているパターンです。以外に多いのではないでしょうか。

また、一番多いのが契約の更新を何回も繰り替えすことです。

そうすると、従業員に「今度も更新するだろう」という期待が生まれてきます。逆にいうと勤続年数などが正社員に近い状態になっており、当たり前に更新するのが望ましいことになります。

正社員の解雇と同等の理由が必要

裁判例では、上記のような更新が繰り返された場合、解雇の法規制を類推適用することになります。つまり、正社員の解雇と同等の理由が必要になります。

1、契約の反復更新が行われ、期間の定めのない契約と実質的に異ならなくなる~東芝柳町工場事件

2、1番の期間の定めなき契約と実質的に同視まではできないけれども、契約の反復更新が行われ、労働者の雇用継続への合理的期待がみてとれる~日立メディコ事件

3、実際に契約の更新が行われたか否かに関わらず、契約が更新されることを前提に契約が締結された場合~龍神タクシー事件

 

1~3に関しては、解雇権濫用法理が類推適用されます。

1に間しては、通常の正社員の解雇と同様で見られ、2、3に関しては、従業員の雇用継続への合理的期待のレベルに応じて、雇止めの有効性が判断されます。反復更新の回数や、職務の内容等に応じての総合判断となります。

ちなみに、契約の途中での解約(1年契約を半年で雇止めする場合)は、解雇となります。雇止めではありません。実際のところ、本来は契約期間の途中で解雇にしたいところを、満了まで待って次回の契約を結ばないということが多いでしょうね。この場合雇止めが相当かと検討する必要があります。

まとめ

契約社員という形態は当然問題ないのですが、契約の更新を3回、4回と繰り返していくと、期間の定めのない契約と同視されたり、契約更新の期待度に応じて雇止めはしずらくなりますし、解雇同等もみなされたりします。

解雇予告手当の支払は必要か

投稿日:2014/10/24 

使用者(会社側)から、従業員に解雇を告げる場合1ヶ月前(30日前)に行うことが必要です。また、1ヶ月前に言わないで即日解雇ならは、解雇予告手当の支払が必要になります。

これは何となくご存知ですよね(ちなみに30日前に言ったから解雇なんてできません。判例上、かなりの正当事由が必要になるからです)。

解雇予告手当と試用期間

またこれは試用期間中も同じです。つまり、試用期間が満了したときに解雇する場合、試用期間満了の30日前には通知する必要があります。

解雇予告手当を支払わなくてもよい例外があります。

  1. 日々雇い入れられる者で1ヶ月以内の雇用の者
  2. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
  3. 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
  4. 試用期間中で14日以内の者

以上の4つの場合、解雇予告手当の支払は必要ありません。

問題になりやすいところは、辞表・退職届けなどが出ていても、従業員側から実態は解雇であったとの主張がある場合などです。例えば給与を下げる旨通知し、承諾しなくて退職をした場合などです。

この場合、辞表は勿論のこと、退職に関しての合意書(後で異議は言わないなど)などを作成しておくのが第一です。

解雇予告除外認定

従業員に解雇事由があって会社が解雇した場合、当たり前のようではありますが、解雇予告手当は必要ありません。しかし、この従業員に解雇事由があったというのを主張・立証するのはなかなか骨が折れます。

刑法犯罪は比較的認められやすい方向です(ただし、出来心レベルは難しい)。

ものの本によると、労働基準監督署の解雇予告除外認定を取れば、解雇予告手当の支払いは必要ないと書かれています。ただし、これはほとんど出ることはありません。

なぜかと言うと、相手の言い分を聞いて判断となるからです。相手が「僕が悪いことをしたので、解雇は仕方ないと思っております」なんて言う訳はありませんので。

ですので、実務上はほぼ出ないと思ってください。結局無断欠勤で出てこないとか、使い込みをしたとかの場合、状況によって従業員の責と認定するという感じです。

再雇用と勤務延長の違い

投稿日:2014/10/22 最終更新日:2016/09/14

定年の引上げと継続雇用制度の違いはご存知ですか?

以下の3つの内、どれかの制度を導入する必要があります。平成25年からは「65歳まで」が義務となります。

定年の引上げか継続雇用か

  1. 定年の引上げ
  2. 定年の定めの廃止
  3. 再雇用か勤務延長制度の導入(これを総称して継続雇用制度)

3番の継続雇用制度は、正確に言うと2つの種類があります。

1、再雇用制度・・・定年年齢で一旦退職 → その後新たに雇用契約を結ぶ。
2、勤務延長制度・・・今までの雇用契約を終了させることなく雇用を継続(60歳前とは違う労働条件でも問題なし)。

再雇用と勤務延長の違い

主に退職金と社会保険料が違ってきます。

【退職金】

退職金について会社との雇用関係が続いている状態で支払われる退職金は、税制上恩恵が大きい「退職所得」ではなく「一時所得」となる可能性があります(※退職金規定の内容等により見解もわかれるようですが)。

【社会保険】

勤務延長で給与がダウンした場合、社会保険の資格はそのままで、社会保険の保険料は随時改定となり、4か月後から下がります。

再雇用制度で給与がダウンした場合、一旦退職し翌日から再雇用となりますので、給与が下がった月から保険料も下がります。

これは大きな違いです。

勤務延長は、昔定年が55歳とか60歳だったので、そのまま勤務を延長するという意味で作られた規定で、現在定年年齢にしても継続雇用にしても、65歳まで雇うようにしてくれという法律になっていますので、勤務延長を選択する意味はあまりないかと思います。再雇用制度にした方が何かとわかりやすいですし無難です。

賞与と在職老齢年金

投稿日:2014/10/22 最終更新日:2016/09/14

賞与が在職老齢年金に影響することをご存じですか?

賞与と厚生年金が減額

定年後再雇用→給与額を下げて在職老齢年金を受給できるように調整する際、計算に過去1年間の賞与額が大きく関わってきます。

60歳代前半の在職老齢年金は総報酬月額相当額基本月額との合計額が支給停止調整開始額(28万円)を超えるときにその月の老齢厚生年金について、調整が開始されるとあります。

要は、年金と給与を足して28万円を超えると調整がかかるということですが、総報酬月額相当額に賞与の額が大きく関係してきます。

【例】
老齢厚生年金額:1,200,000円(1月あたり 100,000円)
現在の給与(交通費含む):200,000円(標準報酬月額200,000円)
60歳時の賞与(春夏2回分):900,000円

この例の場合、総報酬月額は20万円+賞与:7万5千円(90万円÷12)=27万5千円となります。

せっかく年金を受給できるように給与を下げたとしても、賞与の額が多すぎて思ったよりも貰えないということになってしまいます。

60歳以上の働き方と年金の関係

投稿日:2014/10/22 最終更新日:2016/09/14

60歳で定年を迎える会社がほとんどだと思います。現在65歳まで継続雇用等で雇用を続ける形になっておりますが、現実的にどう働けばいいのでしょうか?会社の対応は?

貰える年金が在職老齢年金で調整されるのは、あくまでも62歳以降も会社で厚生年金に加入して働く場合です。

例えば、週の所定労働時間が40時間の会社であれば、働く所定労働時間をおおむね30時間未満にすれば、厚生年金に加入する必要はありません。

また、自営業やフリーで働く場合も厚生年金に加入する必要はありません。

ただし、厚生年金保険に加入して働いた場合、退職後に62歳以降に働いた年金分が、今の年金にプラスされますので全て損というわけではありません。

 

60歳以上の方の継続雇用を行う場合、どうしても会社全体の人件費向上の問題があります。

現在、65歳までの継続雇用が義務付けられておりますのが、あまり低賃金にする場合、会社イメージの低下や従業員のモチベーション低下になります。

といって、若い世代が上の世代に関して閉塞感等を感じる→これもモチベーションの低下となります。

 

結局、60歳以上の従業員に対して、今までの貢献度を考慮し年金等(給与が高いと年金が減らされるため)を考えて最適な給与設計をしていく必要があります。

高齢者の年金と給与最適な設計:ご希望とご相談はこちら

定年後も働いた場合の在職老齢年金

投稿日:2014/10/22 最終更新日:2016/09/14

60歳以降も働くと年金額はどうなるのでしょうか?60歳以降は給与をどのようにすればいいでしょうか?

※現在、新規の年金の受給は62歳からとなります(平成28年現在)。

 62歳以降も働いた場合の年金調整(在職老齢年金)

定年後も通常の従業員として仕事を続ける場合、厚生年金の被保険者として保険料の支払いは続きます。一方62歳を過ぎると、生年月日によって報酬比例部分の年金支給がスタートします。

つまり、62歳以降厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受け取る状態になるのです。

その場合、その年金は在職老齢年金となり、給与と年金月額の合計額によって、年金が一部支給停止になります。

報酬と年金の両方では、手厚すぎるということで一定の調整を行うのです。手厚いかどうかは?ですが、調整が入るものは仕方がありません。

 

計算の元となる年金の基本月額は、本来もらえる老齢厚生年金から加給年金を除いた金額を 12分の1 にした金額です。

つまり、年金の月額です。 給与については、毎月の標準報酬月額に、過去1年間の賞与の12分の1を加えた金額です。過去1年内のボーナスも計算の前提に入るところが注意点。

年金が調整される計算式は複雑になりますが、大雑把に言うと61歳~64歳の間は毎月の年金額と「給料+ボーナスを足した1/12の給与」が毎月28万円までであれば年金は全額支給されます。

28万円を超える場合、その超えた分の半分が毎月の年金額からカットされると考えて下さい。

例えば、年金と給与との合計額が32万円であれば、毎月年金額が2.0万円カットされます。

また、65歳以上の場合、合計額が46万円以上の場合、カット対象になります。

カットされた分は消えてなくなります。後で戻ってはきません。

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