リスク対応型就業規則の作成

投稿日:2014/07/29 最終更新日:2014/09/18

別段、「就業規則」そのものが欲しいという社長はいらっしゃいません。

多くは、社内で発生した問題の解決又は今後の予防のため、就業規則を整備したい場合がほとんどです。一般的には下のような問題ですね。

  • うつ病の従業員が出て、今後の対応はどうするか
  • 権利意識の強い従業員から、いろいろヤイノヤイノ言われて困っている
  • 残業代の未払い請求がきた
  • 遅刻が多い従業員がいるのだけれども、どのようにすればいいのか
  • クビと言ったら、おおもめに揉めている
  • セクハラ騒ぎがあり、規程を作りたい

その他、行政関係の絡みでこのようなご相談も多いです。

  • ハローワークで従業員募集をしようとしたら、就業規則が提出されてないので募集できないと言われた。
  • 労働基準監督署で定期の指導を受けたときに、就業規則を提出してくれといわれた。

リスク対応型就業規則

当事務所では就業規則その他の諸規程を作成するのが目的ではなく、就業規則の整備を通じて会社にとってそれらの課題を解決できるように相談をしていきます。

特に、労働トラブルの防止を目的としたリスク対応型の就業規則を目指しており、箇所箇所で労働トラブル防止のために、ピリリとスパイスを効かせております。

就業規則は正社員、パートタイマーなどわけて作る

投稿日:2014/07/30 最終更新日:2014/09/18

就業規則を作る場合、面倒でも従業員の勤務実態にあわせて、正社員用・パートタイマー用などそれぞれ作成していきましょう。

 

以下が一般に多い就業規則の頭部分です。

この規則でいう「従業員」とは、(採用)に定める手続を経て採用され、会社と労働契約を締結した者をいう。ただし、パートタイマー、嘱託及びアルバイトである従業員(以下「パートタイマー等」)について別段の定めをしたときは、その定めによる。

パートタイマーは別段の定めをしたときはと書いてあります。しかし、そもそもパートタイマー等に関する別段の定め自体が無いことが多いのです。

これは大変危険なので、必ず別に規定を定めてください。その際、注意することは、従業員の定義を明確にすることです。以下のような感じです。

正社員…期間の定めのない労働契約による従業員であって、労働時間、職務の内容及び勤務地のいずれにも制約なく基幹的業務に携わる正社員として雇用されるものをいう。

パートタイマー…有期労働契約又は無期労働契約による従業員であって、1日又は1週間の所定労働時間が通常の従業員より短い者をいう。

正社員とパートタイマーでは、就業規則が異なることを明記すること

〇 正社員→(正社員の)就業規則が適用

〇 パートタイマー→パートタイマー就業規則が適用

このように従業員の定義を記載し、別々の就業規則を定めれば問題はありません。

それでは、パート用の就業規則が無い場合、どのようになるのでしょうか?

その場合、パートにも正社員用の就業規則が適用されます。

 

たとえば、正社員には賞与を支給するが、パート社員には支給しない会社の場合。

就業規則などは正社員用のものしかありません。
この場合、パートタイマーも賞与の請求ができる可能性が高くなります。

勿論、実際の金額は、正社員との労働時間の差や仕事の内容などによる違いがあります。しかし、会社としては請求があった場合、賞与を支払う意思が無いのに、支払わざるを得なくなる可能性が高いのです。

就業規則に賞与を支給すると書いてあり、パートもその条項が適用されるからです。

ですので、必ず正社員、契約社員、パートタイマー等別規程で定めていってください。

ダラダラ残業防止のための事前申告制

投稿日:2014/09/25 

どこの会社でも、仕事が終わった後、雑談をしていてなかなか帰らないような従業員がいると思います。また、残業自体もダラダラとただ残っているような状態だったりもします。

ダラダラ残業の防止

残業する場合、事前に上司に申請し許可を得る 制度を導入しましょう。
定時以降も会社残る場合、「残業の事前申請→承認」の手続きをへて、初めて残業が許可されることにするのです。
要するに、残業というのは会社の業務命令で行うものであり、従業員が勝手にやっていいものではないことを徹底させていくのです。

1、その仕事の緊急性を確認する(いつまでに終わらせるものなのか)。

2、残業をすることの事前許可と、残業の成果に対する承認が必要(残業によって何をしたのか)

という2つの項目を就業規則に記載し、運用していくことにより、ダラダラ残業を防ぐことができます。
緊急性があるものは仕方がないのですが、少しでも残業代を稼ぎたいという趣旨で会社に残っていることもありえます。ですので、仕事が終わったら速やかに退社するという指示を、毎日徹底してください。

ダラダラ残業と残業代支払

勝手に会社に残っていると言っても、ほおっておくと残業代は支払わざるを得ませんし、後での残業代請求の原因となります。

要するに、何も言わないでおいておくと、従業員が会社に自由に残っていること自体、会社が暗黙の了解で認めていると判断されることもありえます。

例えば、タイムカードなどで勤怠管理をしている会社も多いかと思いますが、そのままダラダラ残業をほおっておくとタイムカードに記録された時間が労働時間とみなされてしまいます。

その時間は残業をしていなくて雑談をしていただけだというのを立証できないと タイムカード=残業時間となる可能性が高くなります。
ですので、日常的に残業は会社の事前許可とすることを徹底していくことが、一つの会社の主張となりえます。

修業規則に事前許可制度を記載→運用を徹底

有給休暇の日に出勤したときの給与は?

投稿日:2014/10/03 最終更新日:2014/10/20

有給休暇の取得日に出勤してしまった場合、給与等はどういう取り扱いになるでしょうか?

要は1日出勤すれば、有給を取り消して1日分の給与を払うで問題ないのですが、問題になるのは急な仕事等が発生して、数時間働いた場合などです。

法律などに、有給休暇を取り消したらどうなるなどという規程はありません。そもそも労働の義務がない日なので働いてはいけないのが大前提となります。

つまり、仮に3時間だけ働いた場合でも、その日は有給休暇ではなくなります。

そして、その日は8時間ではなく、3時間分の給与を払うことになります。

ん?何か変ですよね。本人は忙しくて出勤したにもかかわらず、その日は8時間ではなく3時間分の給与になってしまうのです。

ですので、本来有給休暇の日に出勤になるのであれば、事前申請でその日は出勤日(通常の8時間の出勤日)にすればいいだけなのです。

必ず事前に有給休暇取得のルールを決めること

問題になるのは、本人が会社に言わず、勝手に出勤してしまった場合がほとんどかと思いますが、この点はくれぐれも事前に会社に申請するようにルールを決めてください。勝手に出勤してきて給与を払えというのはもってのほかです(それでも、仕事をすれば会社は払わざるをえません。つまりトラブルの元です)。

 

実務的なやり方として、法律はどうあれ、有給は返すけれども給与を1日分ひいて、3時間分しか払わないなどというようなことをしたら揉めるしかなく・・。

有給は半日単位に取得という形にして働いた分は、別途3時間分、時給換算で調整給などで払うという取り扱いになる場合が多いかと思います。法律的には間違っているのですが、まぁ本人との話し合いと合意で折衷案という感じになるかと。

 

元従業員に就業規則を見せる必要があるのか

投稿日:2014/10/06 最終更新日:2014/10/20

元従業員から、退職後に就業規則や給与規定等の開示請求がきた場合、断ることはできるのでしょうか?

退職者からの就業規則開示請求

結論から申しますと、断ってもかまいません。

もっとも法律上明確に、退職者には就業規則等を見せなくてもよい などという規定はありません。

労働基準法106条で就業規則を労働者に周知させなければならない。と記載があるだけなのです。

そして、退職者は全に労働者ではありません。労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で賃金を支払われる者をいう と記載もありますので、元従業員は既にその事業所(会社)における労働者ではないのです。

労働基準監督者を通じて要請がきても同じです。ただし、民事裁判などで裁判所からの開示命令があった場合は別です。その際は開示する必要があります。

しかし、現実的にただ書類が見たいという者はいないので、多くは残業代請求か不当解雇の請求を目的にしていると思われます。

その辺りは何を目的にしているのかによって、随時判断になっていきます。

 

 

定額残業代についての判例と要件

投稿日:2014/10/07 

定額残業代を有効にするためには、どのようにしていくべきでしょうか?

有効も何も、本人同士の合意があればいいじゃないか??そのとおりだと思うのですが、結局裁判などで揉めると、それが残業代であったと立証する責任が会社にあります。

現在、いろいろな判例が入り乱れており、統一的な見解というのはないのですが、おおむね下記3つの要件が加味してあれば、認められる可能性はかなり高いと言えると思います。

基本給に残業代の一部を組み込んだ場合の定額残業代の要件

1、当たり前ですが、当事者間において定額残業代として支払うことの合意があること(及びその旨の就業規則への規程と周知など)。

2、定額残業代部分と通常の賃金のとの判別がなされていること(明確な区分性)。

3、実残業時間がその金額を上回る場合、その差額を支払うこと。

→これは、足りなければ払うというのは当たり前のことではあるので、重要な要素です。逆に足りなくても支払をしないという例が多くあります。社長さんから「払わなくてもいいんだよね?と言われたこともあります。

しかし、払わないのならば、定額残業代というのは名ばかりで、単純に脱法であり、全てが基本給であると認定される可能性がかなり高くなります。運用が雑なのに法は保護しないという考え方です。

 実現場の運用

基本給30万円(内払いとして固定残業代50,000円 27.5時間/月含む 実残業時間が内払いに足りない場合差額を支給する)というような表記で明確に表示(就業規則など)・通知(雇用契約書など)・合意しており、もし27.5時間を超えた場合、差額を支払うという運用が必要です。

判例

高知観光事件(最判平成6年6月13日)

小野里機材事件(最判昭和63年7月14日)

テックジャパン事件(最判平成24年3月8日)

他にもいくつかありますが、最高裁まで争っているということです。弁護士費用を考えただけでもなかなか大変・・・になりますよ。

 

 

懲戒理由は明確に全て通知すること

投稿日:2014/10/16 

懲戒解雇を始めとし、譴責、始末書、出社停止など懲戒を行うとき、明確な就業規則(又は準ずるもの)の記載が必要になります。

そして、懲戒理由を通知するとき原則として、全ての理由を通知してください。
後付で理由を付けることはできないということです。

そのため、懲罰委員会議事録、事情聴取書、処分理由がわかる書類など、事実関係を認識していたことを証明する書類の整備が大事になります。

 

判例平成8年9月26日山口観光事件

懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為の存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることは、特段の事情のない限り、許されない。

 

有給休暇中の給与と手当

投稿日:2014/10/16 

有給休暇をとった場合、給与の計算はどのようにすればいいでしょうか?手当は含めるのかどうか?

通常、日給月給の従業員はそのまま何も引かずに支給している場合がほとんどだと思います。

有給中の住宅手当や夜勤手当などはどのような取り扱いになるでしょう?

まず、有給休暇に支払われる賃金は、次の3種類の内からあらかじめ就業規則などで決めておく必要があります。

1、平均賃金
2、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3、健康保険法の標準報酬日額に該当する額

3番なんかはまずないわけですが、まず1番の平均賃金。これは手当や残業などもひっくるめて、3ヶ月間の給与の平均を出すものです。ただ、休みも含めて30日などで日給計算をすることや残業代も含めるので、計算上実態と離れる場合が多いですね。

通常、2番の通常の賃金が多いかなと思います。この通常の賃金というのも難しいもので、手当はどうするという質問がよくあります。

手当は有給休暇の給与計算に入れるのか?

一般的に手当というと以下のようなものがあります。

基本給に近い形で必ず出している手当(営業手当や技術手当)などは、含むのが通常かなと思います。

その他の残業の計算基礎に入れない以下のような手当はどうしましょうか?

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時の賃金(ボーナス)
  7. 1ヶ月と超える期間ごとに支払われる賃金

6番と7番は、はずしても問題なし。

他の手当や、夜勤手当などは?

法律的には明確な取り決めはありません。

【労働交換的な手当】

たとえば夜間に労働するガードマンの業務などは、その深夜労働自体が通常の労働(所定労働)と解されますから、この従業員が有給を取得したような場合、深夜割増賃金も当然含んだ賃金を支払う必要があります。でも、たまたまその日夜勤だったという人が有給を取得した場合、夜勤手当の支給は必要ないと思われます。

【福利厚生的な手当】

住宅手当などですが、法律の趣旨から支給した方が問題ないということになります。

労働基準法第136条 「使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と規定しています。

手当は趣旨によるので明確ではないものの、支給するのが望ましいという感じになります。

 

 

 

休職規程は必要なのか

投稿日:2014/10/16 最終更新日:2014/10/20

従業員の休職についてのご相談が多くあります。いわゆる「うつ病」などの精神的病の場合。

休職規程に準じて休む形になりますが、実際に休職規定は必要なのでしょうか?

休職規程は作成する必要はあるのか?

結論からお話すると、休職制度自体はなくても問題はありません。法律上ないと駄目という規定がないからですね。

ただ、よく知られていますが、解雇は1ヶ月前の通知が原則(又は1ヶ月分給与を払うか)。ですので、1ヶ月間に関しては解雇はできません(ちなみに、うつ病が労災認定された場合は複雑です。労災治療中は解雇できないため解雇自体が不可になります)。

ちなみに、そうは言っても給与1ヶ月払って「はい今日まで」というのは、実務的には認められません。よほどの理由がないと争うとほぼ負けるでしょう。

 

休職内容は、就業規則に定めがあればいいのですが、10人未満の会社で作成義務がない場合、その時々の判断にはなります。

でもAさんは半年休職OKで、Bさんは3ヶ月ね!というわけにはいかないので、ルールとして定めていく必要はあります。休職がまったく「なし」というのも従業員からみたら冷たい会社だと思われますし。

一般的には3ヶ月~半年くらいで勤続年数により変えるのが妥当かと思います(会社の規模によりまったく異なりますが)。

間違っても1年とか3年とかにしては駄目ですよ。期間は実際そこまで雇いきれるのかと考えて設定してください。

仕事場で金髪やピアスはOKですか?

投稿日:2014/10/20 

世の中、一昔前ですとありえなかったレベルのものも、OKになってきていると・・・。
では、一昔前はなかったけれども、例えば金髪やピアスはどうなのでしょうか?
個人とか表現の自由だとかで、揉めそうですね。

正直、業種にもよるし、人の感覚はそれぞれ違うためかなり難しい面もあります。

営業で人に会うのが仕事の業種と、工場で自社の中にいる場合(自社に人しか会わない)はまったく求められる内容が違いますから。

また、人により不快感を与えるかどうかの感覚というかレベルはまったく違います。

ただ、なんでもOKとしてしまうと、やはりキリがない部分がありますので、就業規則や労働契約書、別紙の服務心得などで明確に定めることをお薦めします。

定めてもいいですよ。根拠は業務命令の服務規律です。労働者が企業の一員として守るべきルールのことで、就業規則などによって定められています。要は業務をしている以上、会社の指示や改善命令には従えということです。

そんなことまでと思っても仕方がありません。
現実的にある問題なのですから。

金髪やピアスと解雇

よほど、取引先から苦情とかがくれば、検討の余地はあつかもですが、懲戒解雇とかは無理です。

注意→注意→始末書か戒告(昇給やボーナス査定は当然期待するなという方向になる)という流れでしょうね。

 

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